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ポジャギと伝統料理の文化散策

ソウルの大学路で伝統工芸工房・ダムル工房を経営し、韓国宮中飲食研究院の郷土料理講師でもある李賢淑先生が毎日の生活のなかで感じた徒然雑記を日本語で紹介します。(たまに…、いや最近は結構な頻度でゴーストライターのダムル工房日記になることも…苦笑)

北方の郷土料理③[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

実習準備中の韓福麗氏
↑ 勉強会後の調理実習の準備をする韓福麗氏

恒例の北韓料理研究会が先日ありました。今回のテーマは「北韓の言葉」です。

韓半島(朝鮮半島のこと)が分断されてからもう60年近い月日が流れてしまいました。

この間南北間では互いに違う体制を維持して来たため、生活環境だけでなく、意識構造にも多くの違いが出来てしまいました。

ビビムククス
↑ ビビムククス

その中でも特に民族的な精神の基盤になる言語までもが南北で大きく違って来ているようです。

互いの言葉が持つ用語の基本概念や表現方法も異なり、元は同じ民族だったことを考えると残念だとしかいいようがありません。

あさりの玉子蒸し
↑ あさりの玉子蒸し

言語は人間社会の中で絶対的な支配をつかさどるものなので、この言語の異質化は自然に変化したというよりは、人為的な原因がより大きいと言われています。

もちろん韓国社会も短期間で急激に変化したので、韓国の言語にも変化はあるでしょう。

けれどもより根本的な原因としてはやはり北韓の言語政策にあるようです。

小豆チヂミ
↑ 小豆のチヂミ

北韓では言語を最も重要な文化要素だと考え、ここからアイデンティティーを確保するため、強力な国家主導の言語政策を行っていると聞いています。

1954年以降は発音通りに表記し、発音しなければいけないという原則も作られ、文法体系も韓国とは随分違ってきているようです。

開城醤餅
↑ 開城醤餅

開城醤餅完成図
↑ 開城醤餅完成図

食に関する言葉も沢山の違いを見つけられます。

もちろん、一応北韓の言葉でも文脈から推測すれば分からないこともありません。

けれども随分違ってしまったな…というのが偽らざる気持ちです。

呼び方違うアサリと玉子
↑ 北韓と呼び方が違うあさりと玉子
※あさりを指すバスレギ(바스레기)は北韓の言葉で、韓国ではバジラク(바지락)といい、玉子を指すタルアル(닭알)は、タルギャル(달걀)になります。

発表を聞きながら、少々気落ちしてしまいましたが、その後は恒例の北韓料理の実習も行いました。

今回のメニューは昨日お話した冷麺の1つであるビビムククス(비빔국수;混ぜソバ)、それからバスレギタルアルチム(바스레기닭알찜;あさりの玉子蒸し)、パッチヂム(팥지짐;小豆のチヂミ)、ケソンチャントッ(개성장떡;開城醤餅)などです。

韓国料理とはまた違う味わいなので、また機会があったら皆さんに作り方を説明したいと思っています。

せっせと料理
↑ 気を取り直してせっせと料理

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[ 2014/02/26 10:38 ] 韓国料理 宮中飲食研究院 | TB(-) | CM(0)

北方の郷土料理②[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

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解説する韓福麗氏
↑ 研究会後の調理実習の準備をする韓福麗院長

昨日は第2回目の北韓料理研究会の日でした。今回のテーマは北韓料理の関連資料についてです。

北韓料理の資料本
↑ 北韓料理関係の資料

韓国に住むものにとって、北韓の料理本は簡単に手に入れられるものではありません。

何故なら長い間、韓国では北韓の図書に対する規制事項がとても多かったからです。

北韓お粥セット
↑ 実習で作った平壌魚粥セット
[左上から牛肉のジョン(습편포)、チャムナムルのキムチ(前回参照)、平壌魚粥(평양어죽)]

けれども最近になってから、ようやく北韓資料センターで収集している所蔵資料を検索できるようになり、どのような料理本が発行されているのか少しずつ分かるようになってきました。

さらに、センターを訪問すれば閲覧も可能になったことで、以前に比べればかなり多くのことが分かるようになりました。

平壌魚粥
↑ 平壌魚粥(玉子入り)
魚粥というと、魚を材料にした粥と思いがちですが、この平壌魚粥は鶏肉を中心として作られているのが特徴です。とても栄養価が高く、真夏の暑い時期にこの熱い粥を食べることで夏バテしない体をつくる効果があるといわれています。

北韓の料理本は紙の質が若干悪いのですが、それでも色々な料理本があります。

そしてそれらの料理本を通して、北韓の食に対する現状や言語表現などの違いも分かります。

また、料理本の特徴として、国家の方針に沿って、国に認められた料理家たちが作っているものが大半です。

けれども料理の種類も多く、料理に対して並々ならぬ研究と努力をしている痕跡を資料から伺い知ることができます。

これらの料理本は、おそらく民間企業から各地に派遣された職員たちが現地で実際に食べた料理や、観光地で食べた料理を記録したものであり、それが北韓住民たちの家庭料理の資料になっているのではないかと想像できます。

三色サラダ
↑ 三色ナムル(삼색남새)
※北韓地方ではナムルのことをナムセ(남새)と表現します。

セミナーの中で宮中料理研究院の韓福麗院長が、北韓へ訪問した体験談を話して下さいました。

しかし、その時食べることができた料理は、あくまでも特権階級にいる者が口にする高級料理であり、接待用のパーティー料理だけだったそうです。

つまり、実際の北韓の住民たちの平凡な料理に接する機会は全く与えられなかったため、現在の北韓料理が実際にどのようになっているのかを知ることはとても難しいとのことです。

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[ 2014/02/25 10:08 ] 韓国料理 宮中飲食研究院 | TB(-) | CM(0)

北方の郷土料理①[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

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ファンヘソン先生
↑ 昨日は宮中料理研究院のセミナー「北韓料理研究会」の日でした。(右下に私が学んだ黃慧性先生、一番上に最後の尚宮だった韓尚宮がいらっしゃいます。)

この研究会は宮中料理研究院で教えている有志の講師約20名が集まり、互いの北韓料理の情報交換を通して、その体系化を計画している勉強会です。

本日は、私が宮中料理研究院で担当している北韓料理について話したいと思います。

朝鮮半島は60年以上前に南北に分断され、互いに往来できなくなってしまいました。

そのため現在北朝鮮の領土にあたる地域の料理が、どのように発展しているのか具体的に知る方法はなくなってしまいました。

セミナーの様子
↑ セミナーで挨拶をする韓福麗院長

そのため北に故郷がある失郷民(실향민)たちは、当時自分たちが故郷で食べてきた料理を思い出しながら、時には作って食べたりしました。

そして各自、自分の故郷の料理だけを自分なりに発展させて来たのです。

そうして、失郷民たちを中心に、故郷の味を懐かしく思う人たちが作り出した料理が北韓料理でした。

今では故郷の味を求めて懐かしんだり、故郷を失った痛みを和らげるために食すだけでなく、多くの人が美味しい料理のひとつとして北韓料理を食べています。

箸のコレクション
↑ 宮中料理研究院の別館に飾られている箸のコレクション

私も分断してから、一度も故郷の地には行っていません。

けれども北韓料理を作りながら、きっと故郷は、韓国より環境破壊が少なくて、純粋な意味での郷土食も残されているのではないか、あるいは北方独特の農産物なども沢山残っているのではないか…などと思いを馳せることがあります。

それでは今日は家庭でも簡単にできる北韓料理を2つ紹介したいと思います。

スプーンのコレクション
↑ スプーンのコレクションもあります。

1) チャムナムル(참나물;ミツバ)のキムチ
チャムナムルキムチ完成型

チャムナムル(참나물)をヤンニョムに和えてから漬けたキムチです。

葉が3枚あるところからサムイプチョ(삼잎초;三葉草)やサンミナリ(산미나리;山芹)とも呼ばれます。

日本では「ミツバ」と呼ばれ、主に料理の飾りとして使われることが多いそうですね。

<材料> ミツバ 2kg、塩 60g、ニンニク 40g、生姜 10g、ネギ 50g、粉唐辛子 15g、砂糖 20g

①チャムナムルを4cmくらいに千切って洗います。4cmというのは箸でつまんだり、スプーンで掬う時に一番適当な大きさだと言われています。
②ネギは3cm程度に切っておきます。
③切ったチャムナムルとネギに他の材料を全て入れて混ぜ合わせ、5時間くらい経ったら塩水を入れ、漬かったら完成です。

チャムナムル
↑ チャムナムル

2)チェンバンククス(쟁반국수;盆ソバ)
チェンバンククス完成型

チェンバンククス(쟁반국수;錚盤麺)は、ゆでた蕎麦をヤンニョム醤で和えて、お盆(=チェンバン)に盛り、野菜や肉で飾りつけた料理です。

綺麗に飾った後のソバに、熱い肉汁スープを注いで食べます。

チェンバンククス01
チェンバンククス材料
↑ チェンバンククスの材料と飾りつけ

<材料> そば粉 400g、牛肉 100g、豚肉 100g、鶏肉 50g、ゆで卵 3個、ヒラタケ 150g、きゅうり 100g、梨 100g、キムチ 100g、塩 少々、しょう油 小匙1、ネギ 10g、コショウ 10g、砂糖 10g、ごま油 10g、松の実 10g、ゴマ 10g

①牛肉、豚肉、鶏肉は箸がスッと入るくらいまで茹でます。その後冷まして、牛肉と豚肉は薄く切り、鶏肉は割いて、しょう油、ゴマ油、コショウと和えておきます。
②ヒラタケも茹でた後に水に入れ、しっかりと絞ります。そしてごま油を軽くかけ、ネギ、ニンニク、しょう油で和えます。
③きゅうりも柳葉の形に切って、塩で軽く和えます。その後水気を切って、ごま油、叩いたネギ、ニンニク、塩、コショウ、ゴマをいれて混ぜ合わせます。
④キムチは肉と同じくらいの大きさに薄く切ります。梨は皮をむき、きゅうり同様、柳葉模様に切ります。
⑤ソバを適当な硬さになるまで茹でます。
⑥チェンバン(=お盆)にソバを盛り、その周りに①~④で作った肉や野菜、ゆで玉子で綺麗に飾ります。
⑦最後に熱い肉汁スープを注ぎ、ヤンニョム醤も一緒に入れて、完成です。

(幽の補足説明)
チェンバン(쟁반;錚盤)は、日本の盆のようなものですが、真鍮で作られており、平たくへこんだ形をした器です。

チェンバンククス器
↑ チェンバンククスの真鍮盆


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[ 2014/02/24 10:47 ] 韓国料理 宮中飲食研究院 | TB(-) | CM(0)

聡明湯(총명탕)[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

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聡明湯(총명탕)20130129-004
↑ 聡明湯とは朝鮮王朝時代の医者として有名な許峻が記した『東医宝鑑』に記されている薬膳です。

効能として物忘れがひどくなった時の治療薬として紹介されています。

また長く服用すると、1日に1000個の言葉を覚えられると言われ、時節柄受験生の子供を持つ母親たちにとっては耳寄りな朗報かもしれません。

作り方は茯神(복신)、遠志(원지)、石菖蒲(석창포)の3種類を全て同じ量だけ刻み、3匁ずつの水で煮詰めて完成です。
※1匁=約3.75グラム

他にも粉末にして2匁ずつ、1日に3回、お茶にまぶして飲んでもいいです。

聡明湯(총명탕)20130129-001
↑ 茯神は甘淡、平、入心、脾經、寧心、安神、利水に効果がありますが、血虚な人は服用をしてはならないそうです。

聡明湯(총명탕)20130129-002
↑ 遠志は甘草を煮詰めて冷ました後、芯を取り除いて生姜汁で加工したもののことを言います。

効能は辛苦、微温、入、肺、腎經、寧心安神、祛痰開竅、解毒消腫などですが、去心をせずに服用すると胸が苦しくなるという症状を引き起こすこともあります。

聡明湯(총명탕)20130129-003
↑ 石菖蒲は辛苦、微温、入心、肝、脾、豁痰開竅、化湿和胃、寧心益志に効能があります。

香りはとても良いのですが、血が少ない人や汗かきの人は飲んではならないとされています。また、気虚で体が弱い人も相当に気をつけて飲まないと危険なものと書かれています。

なおこれらの材料は、ソウルならば薬令市として有名な京東市場など、各種漢薬剤の店で簡単に購入できます。

物忘れがひどくなったなと感じたり、記憶力を上げたいと考えている人はお試しになってみるのもいいかもしれません。

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[ 2014/02/13 10:23 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

コチュジャン作り[再録]

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コチュジャン作り01
↑ 先ずは麦芽を濾して、麦芽の粉を作ります。

手造りのコチュジャンは市販のものよりまろやかで、料理に深みを与えてくれます。

熟成させてもとても美味しくなるのですが、我が家では熟成させる前に食べ切ってしまうことが多いです。

コチュジャン作り02
↑ 大豆麹の粉と唐辛子粉を混ぜ合わせます。

コチュジャンは韓国料理には欠かせない調味料のひとつです。

古くは17世紀、朝鮮王朝時代後期の医監・李時弼(이시필)の料理本『小聞事説(소문사설)』の冒頭部分に淳昌コチュジャン(순창고추장)の作り方が記録されています。

また1776年(英祖42年)に儒学者・農学者・医監でもあった柳重臨(유중림)が補充・刊行した農学書『増補山林経済(증보산림경제)』にもコチュジャンについての記載があるそうです。

コチュジャン作り03
↑ 塩水を作る時、塩水の濃度を計ります。玉子を割り入れて、浮かび上がってくる状態が500ウォン硬貨ほどの大きさになっていれば大丈夫です。

コチュジャンが使われる料理としてよく知られているのは、トッポッキ(떡뽁이;もちの甘辛コチュジャンソース和え?)、プルタッ(불닭;非常に辛い鳥料理)、アンドンチムタッ(안동찜닭;安東地方の鳥の大皿料理)、ジャンポックム(장뽁음;コチュジャンを炒めた薬味)、コチュジャンチゲ(고추장찌게;コチュジャンベースの鍋料理)などです。

コチュジャン作り04
↑ もち米の粥を作り、麦芽粉と大豆麹と唐辛子粉を混ぜ合わせたものを合わせます。

コチュジャンは作った後、何時ごろが食べごろなのかと聞かれることが多いのですが、韓国の諺に「ジャン(장;醤)は午日から食べて、嫁は3日で食べてしまう(장은 말날부터 먹고 며느리는 사흘만에 부려먹는다)」とあるように、作ってすぐに食べても美味しいです。
※午日とは陰暦10月の午の日のことで、韓国ではこの日に醤を作ると良い…とされている日らしいです。そう考えると、この諺の意味するところは「嫁は作るや否や食べてしまう」ってことなんですかねぇ~(苦笑)??日本の諺に似たものはあるのでしょうか??

コチュジャン作り05
↑ 混ぜ合わせたものを、甕に入れて熟成させて完成です。

コチュジャンチゲ
↑ 今回は作ったばかりのコチュジャンを使って、コチュジャンチゲ(고추장찌개)とコチュジャンポックム(고추장볶음;コチュジャン炒め)も作ってみました。

コチュジャンポックム
↑ コチュジャンポックムは味噌のように肉や野菜など、色々なものに付けて食べると美味しい薬味になります。ご飯と一緒に食べても美味しいです。

広蔵市場の製粉所
↑ コチュジャン(고추장;唐辛子味噌)を作るにあたって、広蔵市場の製粉所(방앗간)で、荒引きの唐辛子粉をコチュジャン用のキメの細かいものに挽きなおしてもらいました。

唐辛子の製粉機
↑ こういう機械を使います。

製粉所にいる李先生
↑ 広蔵市場の製粉所(방앗간)にいる李先生~

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[ 2014/02/12 10:17 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

キムチ作り(김치만들기)[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

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キムチ作り
↑ 母と作ったキムチ

韓国の国土はとても小さいですが、それでも地方ごとに様々なキムチがあります。

特に野菜が少ない冬には発酵食品のキムチは重要な栄養源でした。

トンペチュ
↑ トンペチュ(丸ごと白菜)

韓国の一般家庭で作られるキムチは、食堂でよく出される丸ごと白菜キムチ(トンペチュキムチ;통배추김치)より、大根と白菜を混ぜたソッパクチ(섞박지)[注1]と呼ばれるキムチが多いように思われます。

ソッパクチ01
ソッパクチ02
ソッパクチ03
ソッパクチ04
ソッパクチ05
↑ ソッパクチ作り

このキムチは王宮で少しずつ漬けられ、王の水刺膳に出されたという記録も残されています。

日本の方に一番有名なトンペチュキムチは王宮においては、どちらかといえば宮中の使用人たちが食べるために作られていたと伝えられています。

また、工房の近くにある駱山公園(낙산공원)にもキムチにまつわる逸話が残されています。

駱山公園には「鴻德の畑(홍덕이밭)」と呼ばれる場所があります。

この名前の由来は1639年、丙子胡乱(병자호란)という事件まで遡ります。

ナクサン公園
↑ 工房の近くにある駱山公園

ナクサン公園南山タワー
↑ 駱山公園(遠くに南山タワーが見えます)

ナクサン公園遊歩道
↑ 駱山公園の遊歩道

この事件は、隣の清国が朝鮮半島に攻め込み戦争になったものでしたが、当時の王であった仁租(인조)は戦いに負け、三田渡(삼전도)というところで降伏してしまいます。

結果として息子の孝宗(효종)が清国に捕虜として捕まってしまいました。

けれども当時彼に仕えていた内人のひとりであった鴻德(홍덕)という女性は、瀋陽という異国の地にいながらも毎日野菜を育て、キムチを漬け、主人である孝宗に水刺を献上していたというのです。

城壁内側
↑ 城壁内側

城壁内側遠景
↑ 城壁内側遠景(遠くにソウル大学病院が見えます)

その後、孝宗は無事に朝鮮半島に帰ることができ、王になることもできました。

けれども異国の地で食べた鴻德のキムチの味が忘れられなかったことから、駱山の中腹に「鴻德の畑」という地名を付けて、彼女の功をねぎらったといいます。

城壁外側
↑ 城壁外側

城壁外側遠景
↑ 城壁外側遠景(下方に漢陽大学が見えます)

このようにキムチは昔から韓国人にとってはなくてはならない食べ物です。

そのためキムチを使った料理も沢山あります。特に時間が経ち、少々酸っぱくなってしまったキムチでも決して捨てることはなく、別の料理の材料として使って最後まで美味しく頂きます。

鴻德の畑01
↑ 鴻德の畑の掲示板

鴻德の畑02
鴻德の畑03
↑ 鴻德の畑
(幽談)今は冬なので、まだ何も植えられていませんでした(爆)!でも春になると白菜や色々な野菜が植えられて、ここで収穫された野菜でキムチを作って食べるんだそうですぅ~。

本の一例として、春ならタルレ(달래;ヒメニラ)と一緒に混ぜてキムチ餃子をつくります。他にもキムチチゲ、キムチチヂミ、キムチチャーハンなどなど、独特のキムチの酸味を生かした料理が沢山あります。

今日はその中でも旅行に大活躍のキムチサンドウィッチの作り方をご紹介します。

※キムチサンドウィッチの作り方
キムチサンドウィッチ

1) キムチを細かく切ります。
2) ハムや、ベーコン、あるいはシーチキンを細かく切ります。
3) フライパンにオリーブ油を引き、1)と2)の材料を一緒に炒め、最後にチーズを入れます。
4) パンにバターを塗ってから、トースターで軽く焼きます。
5) 焼いたパンに3)の材料をのせて、はさめば完成です。

我が家では旅行に行くときは、サンドウィッチを完成させず、具とパンを別々にして持って行きます。

キムチは炒めても少々水分が多いため、パンがベタベタにならないようにするためです。

簡単で美味しいので、一度試してみてください。

(幽の補足説明)
注1;ソッパクチ(섞박지)とは塩漬けした大根、白菜、その他の野菜を大きめに薄切りして色々な薬味を加えて漬けたキムチのことです。


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[ 2014/02/11 10:17 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(2)

ヘジャンクッ(해장국;解酲湯)②[再録]

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慶尚道式のチュオタン
↑ 慶尚道式のチュオタンはドジョウを濾さずに丸ごと入れて調理します~

チュオタン(추어탕;どじょう鍋)もヘジャンクッの一種類と言えるスープ料理です。

地域によって料理方法が大きく変わるのが特徴と言えます。

全羅道(전라도)地方は辛い味付けがなされ、慶尚道(경상도)地方で食べるチュオタンは全く辛くありません。

元祖チュオタン01
↑ 幽の職場にほど近いところにある「元祖チュオタン専門店」。ここは創業1977年を誇る老舗中の老舗店です~。ソウルでも移り変わりの激しい激戦区・江南にあって、これだけ長く続いている店はほとんどない程です。そのためこの店は近代的なビルに囲まれ浮きまくってイマス…。でもここのチュオタンは本当に美味しいデス!!

冬に自然の恵みとしてドジョウ(미꾸라지)が沢山とれたために、チュオタン(鰍魚湯)という名前が付けられたと言われています。

このスープ料理は酔い醒まし効果だけでなく、とてもスタミナが付くと言われているため、あちこちに専門店ができるほど人気があります。

元祖チュオタン02
↑ 江南のこの辺りでは、すっかり珍しくなってしまった鄙びた外観~

料理方法は色々ありますが、ドジョウをすり潰して煮る方法がどちらかといえば多いような気がします。

ドジョウを真水に入れた後、目の粗い篩に入れ木ヘラなどで濾すと、骨と皮だけを上手く取り除くことができます。

そして濾したドジョウ肉の部分だけを再度茹でたスープに入れ、コチュジャンとテンジャン(된장;韓国味噌)で味付けし、臭みを消すための生姜や胡椒を入れます。

チュオタン
↑ ここの店のチュオタンは濾したものもあるし、丸ごとのものもあります。写真のチュオタンは濾してあるチュオタンで、幽はこっちの方が食べやすくて好きデス…。

スープは店によって色々違い、牛肉のスープや鶏肉のスープを使います。

その上にスクチュ(숙주;もやし)、コビ(고비;ゼンマイ)、パ(파;ねぎ)、ぺチュ(배추;白菜)、カッチェ(갓채;辛子菜)なども入れ煮立たせます。

食べる時に胡椒や山椒粉などをかけるとより美味しくなります。

東大門市場のうち鐘路5街食い倒れ通り(먹자골목)に行くと、とても美味しいチュオタンの店があるので、食べてみたい方はそちらの方へ行かれると良いでしょう。

ドジョウ01
↑ 外にある2つのたらいを除くと…、うん??

ドジョウ02
↑ うわっ!!こっちはよく見える…。ちなみにここはチュオタンももちろん美味しいのですが、ドジョウの天ぷらも絶品なんだとか…。中々食べる機会がないのですが、今度一度試してみたいなぁ~。こういうの見ちゃうと、ちょっと可哀想な気もするケド…。

(幽の補足説明)
鐘路5街食い倒れ通りとは、タッハンマリなどで有名な場所のことです。チュオタンの店ではありませんが、鐘路5街食い倒れ通りの写真がいっぱいあるサイトです。


↓  ↓  ↓ ここをクリック!!
鐘路5街食い倒れ通りの紹介サイト(韓国語)

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[ 2014/02/10 10:55 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

ヘジャンクッ(해장국;解酲湯)①[再録]

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コンナムルヘジャンクッ01
↑ コンナムルヘジャンクッ~。

ヘジャンクッ(해장국;解酲湯)は、その種類の多様さから外国人には分かりにくい料理のひとつのようです。

辞書的な意味から考えると文字通り「アルコールで傷んだ胃を回復させてくれるスープ料理」です。

コンナムルヘジャンクッ02
↑ コンナムルヘジャンクッは結構色々な店で食べられるけど、ここが幽は一番好きかなぁ~??

すごく美味しかったです!!李先生の旦那様に教えてもらいましたぁ~。

コンナムルヘジャンクッが美味しい店
↑ 場所は景福宮にほど近い商店街の中にあります。

世宗村飲食文化通り
↑ 世宗村飲食文化通り…という名前が付いてます。

昔の雰囲気が残る通り
↑ ちょっと昔の雰囲気が漂う通りです。

そうそう…、この通りでお祖母ちゃんが一人でやってる小さなキルムトッポッキの店もあります。

このトッポッキも美味しいんだよね。韓国のTV番組で紹介されてから、急に人気の店になっちゃったみたいだけど…。

お祖母さんが一人でやってるキルムトッポッキの店
↑ 機会があったら、是非こちらも食べてみて下さい~。


針があるところに糸があるように、解酲酒(해장술;迎え酒)など二日酔いを抑える方法を探すなかで、体にやさしい方法として発達してきたスープ料理のジャンルではないかと思います。

そのためかヘジャンクッは地方ごとに本当に多様に存在します。

おそらく主人の二日酔いを効果的に醒まそうとする主婦たちの試行錯誤の努力の結果なのではないでしょうか。

ソンヂヘジャンクッ01
↑ ソンヂヘジャンクッ~

一般的に街角でよく見るヘジャンクッは、ソンジヘジャンクッ(선지해장국;鮮血解酲湯)、コンナムルヘジャンクッ(콩나물해장국;豆もやし解酲湯)、ピョヘジャンクッ(뼈해장국;骨解酲湯)などだと思います。
※ソンジ(선지)は牛血の煮こごり、コンナムル(콩나물)は豆もやし、ピョ(뼈)は牛の肉付き骨が入ったスープ料理です!!

ソンヂヘジャンクッ02
↑ 牛血の煮こごり…とかいうと、拒否反応を示す方もいるかもしれませんが、レバーとかスンデとかが食べられる人なら美味しく食べられます~。

ゼラチン状に固められた煮こごりが癖になる料理です。

ソンヂヘジャンクッが美味しい店
↑ この店は大学路にありますよぉ~※2014年2月現在、こちらの店はワッフルとコーヒーを提供するカフェに…。カフェは嫌いではありませんが、こうも増えすぎると、あんまり嬉しくないですよねぇ~。

これ以外にも地方ごとに特徴や由来話があるヘジャンクッが色々ありますので、機会を見ながらご紹介していきたいと思います。

ピョヘジャンクッ01
↑ ピョヘジャンクッ~

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[ 2014/02/07 10:20 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

炙(적)について[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

ソンイサンジョク
↑ ソンイサンジョク(송이산적;松茸散炙)

ジョク(적;炙)とは肉類と野菜・キノコなどを味付けして串に刺し、焼いた料理です。

大きく分けてサンジョク(산적;散炙)、ヌルムジョク(누름적)、チヂム(지짐)という3種類の料理法があります。

簡単に言えばジョン(전;煎)と同様に玉子の衣を漬けて焼きますが、それを串刺しすればジョクとなります。

ウンパサンジョク
↑ ウンパサンジョク(움파산적;ひこばえ葱の散炙)

サンジョクは肉と野菜を交互に刺して、味付けし、焼き網で焼いたものです。

オサンジョク(어산적;魚)となれば、肉の代わりにトンテ(동태;凍太[冷凍スケトウダラ])、ミンオ(민어;民魚[ニベ])、カンオ(광어;廣魚[ヒラメ])などの魚類を刺したものを指します。

ヌルムジョク
↑ ヌルムジョク

ヌルムジョクは、1700年代まで朝鮮王朝時代の料理書によると、材料を蒸したり焼いたりした後、小麦粉を水で溶いたものに付けて作るという、中国料理の酢豚のような料理を指しました。

しかし1700年以降の料理書になるとこの方法はなくなり、代わりにそれぞれの材料を炒めて串に刺す料理法に変化しました。

ヌルムジョクの代表的なものとしてファヤンジョク(화양적;華陽炙)というものがあります。

ファヤンジョク
↑ ファヤンジョク

チヂムは各材料を味付けして串に刺すのですが、焼くときはジョンのように玉子などの衣を付けて焼きます。

キムチジョク
↑ キムチジョク

代表的なものにキムチジョク(김치적)、トゥルプジョク(두릅적;タラの芽炙)などがあり、これらは皿に盛り付ける時には、串を外して食べやすいように2~3個に切って綺麗に並べます。

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[ 2014/02/06 10:05 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

ソルロンタンとコムタン[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

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ソルロンタン01
コムタン01
↑ ソルロンタン(上)とコムタン(下)

寒い日々が続いていますが、このような厳しい寒さが続く時は温かいスープ料理が最適ですね。

その代表ともいえる料理にソルロンタンとコムタンです。

日本人の生徒さんから、よく「ソルロンタンとコムタンの違いは何ですか?」と聞かれることがあります。

確かにソルロンタン(설렁탕;先農湯[雪濃湯])とコムタン(곰탕;膏飲湯)は両方とも牛肉ベースのスープで作られ、味も食べ方もよく似ています。

さらに日本では豚骨スープなどに代表される豚肉ベースのスープが多いようですが、韓国では圧倒的に牛肉ベースのスープ料理が多いという特徴もあります。

豚肉ベースのスープは韓国ではどちらかといえば少数派で、釜山などで作られることが多いようです。

ソルロンタンの有名チェーン「神仙ソルロンタン」
↑ 韓国全土にある有名ソルロンタン・チェーン「神仙ソルロンタン」~。もちろん大学路にもあります~。

ソルロンタンは写真をみて分かるように牛骨の白濁スープが特徴です。

牛肉、牛の頭肉、牛骨、牛足、牛テールなどの各部位を大きな鍋に入れ、何日間にもわたって煮込む料理です。

そして煮えた牛肉を取り出し、骨だけをずっと煮続けることで、独特の白濁したスープになります。

神仙ソルロンタンのオリジナルの器
↑ 神仙ソルロンタン、オリジナルのアルミの器。とても軽い器です!!

歴史的にソルロンタン(설렁탕)は、ソンノンタン(선농탕;先農湯)やソルノンタン(설농탕;雪濃湯)などと表記されて来ました。

1940年発行の『朝鮮料理学(조선요리학)』では、世宗大王(세종대왕)の時代に由来すると書かれています。

薬味もネギだけのシンプル料理
↑ 薬味もネギくらいしか入っていない、とてもシンプルなスープ。

その由来話として残されているのが、次のような話です。

その昔、世宗がソンノンダン(선농단;先農壇)という農事をつかさどる祭祀を行っていた時、ひどく強い雨が降ってきて、一歩も動けない状況になってしまいました。

その時、空腹の臣下たちのために祭祀の時に使っていた農牛を使って何か料理を作れと命じたそうです。

その結果作られたのが、牛だけを使って作られたシンプルな料理で、それがソンノンタン(선농탕;先農湯)と呼ばれるようになりました。

そしてそれが現在ではソルロンタンという呼び名に変化したとのことです。

カクトゥギとキムチが付きます~
↑ 白菜キムチとカクトゥギが何処のお店でも付いてきます~

ソルロンタンが調理時に味付けをほとんどせず、食べる人が自分の好みの分だけ後で塩を入れるのも、このような非常時の背景に由来するというのです。

また塩以外には大根キムチ(カクトゥギ;깍두기)が合うとされ、これをスープに混ぜて調味料の代わりにする人も多いです。

羅州コムタンのコムタン
↑ コムタンが美味しい店として有名な「羅州コムタン」のコムタン

韓国人はご飯を混ぜて食べます
↑ 韓国人はご飯をスープに入れて食べる人が多いようです…。こういう食べ方、始めは慣れませんでしたが、今では幽も混ぜて食べることが多いです…。

これに対してコムタン(곰탕;膏飲湯)は、牛肉や牛の各種部位を長時間煮込んで作るシンプルなスープ料理という点ではソルロンタンと同じです。

両者は調理法も味も似ている料理ですが、最も大きな違いはコムタンには牛骨を入れないことです。

そのためソルロンタンのように白濁したスープではなく、透明なスープをしています。

コムタンが美味しい店「羅州コムタン」
↑ 羅州コムタンの外観

また微妙な味の違いとして、コムタンは胃、小腸などの内臓肉を入れて煮るので、ソルロンタンに比べて少々濃厚なスープとなり、若干脂っこい味をしています。

しかしこれも店ごとの秘伝の作り方があるため、コムタンでもさっぱりしているものもあります。

現在ではソルロンタンとの味の違いはかなり曖昧になっており、料理の味の違いというよりは、店ごとの味の違いとなっています。

あと違いがあるとすれば、ソルロンタンがほとんど味付けされない状態で客に出されるのに対して、コムタンの方はあらかじめ醤油で少し味付けされて出されることが多いことです。

羅州コムタンの店内
↑ 羅州コムタンの店内

コムタンという名前の由来は、韓国語で「長い時間かけて煮る」という意味の「コウム(고음;膏飲)」という言葉で、それが省略され、スープの意味を持つタン(탕;湯)と合わさってできたといわれています。

店内に書かれているコムタンの由来
↑ 店内に書かれているコムタンの由来

窓に書かれた羅州コムタンの由来
↑ 羅州コムタンの由来も外の窓に書いてあります~

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[ 2014/02/05 10:52 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

冷麺の話[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

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又来屋の冷麺
↑ 北韓料理の店「又来屋」の冷麺

ここ数日冷え込みが厳しくなっています。

このような寒い日が続くと、冷麺が食べたくなります。

私の子どもの頃は、家ごとに冷麺専用の器具があるほど、みな冷麺をよく食べました。

そして、たまに東大門にある「又来屋(우래옥)」という店に行き、壁に掛けられている「大同江(대동강)」の絵を眺めながら、北韓式冷麺を食べて昔を思い出し、故郷を懐かしんだりしています。
※大同江は北韓の平安南道にある大きな川です。

又来屋の店内
↑「又来屋」の店内

冷麺と言えば、李圭景(이규경)という18世紀の人物が書いた『五洲衍文長箋散稿(오주연문장전산고)』物産辨證說(물산변증설)の中に「平壌は“甘紅路冷麺骨董飯(감흥로냉명골동반)”が有名だ」という記録が残されています。
※「五洲衍文長箋散稿」とは当時の百科事典のような本であり、甘紅路は朝鮮時代の三大名所と言われた場所です。

又来屋のお品書き
↑「又来屋」のお品書き 

また北韓で発行された『朝鮮の民俗伝統』という本にも、平壌冷麺のスープをトンチミ(동치미)と肉だし汁で作るという、2種類の調理法を紹介しています。

そして咸鏡道冷麺になるとジャガイモ澱粉のスープに牛肉、豚肉、鶏肉を使い、海が近い地域の冷麺になると、カレイ(가자미)やエイ(홍어)などの刺し身を乗せた冷麺もあります。

これはフェククス(刺し身麺;회국수)と呼ばれることもありますが、このようにひとくちに冷麺と言ってもその作り方は様々です。
※トンチミは唐辛子が入っていない汁物キムチです。

平壌麺屋の冷麺
↑ 今はもうない大学路の冷麺専門店「平壌麺屋」の冷麺…
※牛肉ベースのスープが私好みですっごく好きだったのにぃ~(泣)。幽は李先生とは違って、暑い夏になると冷麺が食べたくなるのです!!今年の夏は何処の冷麺屋行こうか困るよなぁ~。

他にも様々な麺類を使った冷麺料理もあります。

朝鮮時代後期の文臣、洪錫謨(홍석모)は『東國歲時記(동국세시기)』(1781~1850)で、ソバ(메밀국수)に大根のキムチ(무김치)、白菜のキムチ(배추김치)、豚肉の茹でたもの(편육)で飾り付けたものを水冷麺(물냉면)と記しています。

さらに骨董麺(골동면)と呼ばれるものもあります。

これはチャプチェ(韓国春雨;잡채)、梨(배)、栗(밤)、牛肉(소고기)、豚肉(돼지고기)を細く切ったものを油で炒め、しょう油で味付けした具材を、ソバのうえに乗せるという料理です。

北韓料理の店「平家屋」
↑ ここも江南で有名な北韓料理の店「平家屋」

骨董(골동)という言葉は、もともと羅ブヨン(나부영)という中国の老人に由来があります。

この老人が色々な材料を一度に混ぜて煮た料理を骨董汁(골동갱)と呼んだそうです。

そこから骨董(골동)という言葉に「色々混ぜ合わせる」という意味が含まれるようになり、骨董麺(골동면)へと派生していったようです。

骨董麺は現在ではビビムネンミョン(비빔냉면)と呼ばれることが多いです。

あるいはビビムネンミョンが美味しいと評判であった北韓地域の地名を付けてハムフンネンミョン(咸興冷麺;함흥냉면)とか、ハムギョンネンミョン(咸鏡冷麺;함경냉면)などと呼ばれることもあります。

北韓式のビビムククス
↑ 北韓式のビビムククス(비빔국수)

大学路コルトンミョンの店
↑ 大学路には「골동면(骨董麺)」という名前の店もありますぅ~

朝鮮時代後期の王たちも冷麺が大好きでした。

特に高宗皇帝は冷麺が好きで、大漢門の外にある麺の店から配達させ、豚肉や梨、松の実を乗せた冷麺を作らせました。

けれども高宗は、大の梨好きだったらしく、麺の上に山のように梨を盛らせて、中の麺が見えない冷麺を食べた…という記録も残っています。
※大漢門は徳寿宮の大門のことです。

「宮中宴路への招待」展
↑ 宮中料理研究院「宮中宴路への招待」展(2011年度開催)

日本でも1954年に咸興冷麺が盛岡市に伝えられ、盛岡冷麺という料理になりました。

今では東京でも盛岡冷麺を食べられる店ができるほどの人気料理だと聞いています。

このように冷麺は様々な種類があり、現在でも多くの人に好まれる料理になっています。

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[ 2014/02/04 10:08 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

ファンテチム(황태찜;黄太蒸し)[再録]

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ファンテトクジャンの風景
↑ ファンテトクジャン(황태덕장)
ファンテを干す場所のことを、このように呼びます。
(幽談;2009年の夏に束草旅行へ行った帰り、ドライブウェイにあるファンテ専門のお土産屋さんで撮影。後ろの雪景色はフェイクです(笑))

ファンテ(황태;黄太)は、日本語では乾燥スケトウダラのことを指します。

この魚は韓国では処理方法によって様々に名前が変わり、調理方法も変わってきます。

一例としてセンテ(생태;生太)は、何の処理も施していない生のスケトウダラのことで、主に鍋料理に使います。

コタリ(코다리)は半乾燥させたもので蒸して食べることが多いです。

そしてファンテ(황태;黄太)は乾燥させたものを言い、煮たり焼いたり蒸したり様々な料理があります。

他にもパサパサになるまで乾燥させたプゴ(북어;北魚)や、凍らせたトンテ(동태;凍太)などもあり、それぞれの食材に合った料理が作られています。

またスケトウダラは一度捕らえれば、内臓から骨や皮に至るまで、捨てる部位がない魚と言われており、様々な商品に加工されています。

珍味として有名なのは明太子ですね。

これは韓国ではミョンランチョッ (명란젓)と呼ばれて、韓国土産の定番になっています。

他にも内臓を塩辛にしたチャンナンチョッ(창난젓)なども酒のつまみに最高です。

※ファンテチム(황태찜;スケトウダラの蒸し煮)
ファンテチム

<材料>
半乾燥したスケトウダラ 2匹
(ヤンニョム) しょう油 大さじ7杯、唐辛子 大さじ2杯、砂糖・ニンニク・ねぎ・オリーブオイル・生姜・胡椒・水あめ 各少々

1) 半乾燥したスケトウダラを下ごしらえする。
2) 鍋に頭の部分と昆布を入れて、スープを作る。
3) 鍋に下ごしらえをしたスケトウダラを入れて、出汁をとったスープをたっぷりと入れる。次に準備しておいたヤンニョムを入れ、しばらく煮た後、最後に水あめを入れて出来上がり。

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[ 2014/02/03 10:22 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

ケソンマンドゥ(개성만두;開城餃子)[再録]

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開城餃子03
↑ 仁寺洞にある「宮」のケソンマンドゥ

これも料理教室のリクエストです。

ケソンマンドゥ(開城餃子;개성만두)は、名前が示すとおり、現在では北朝鮮の地域にある黄海道・開城という古都で食べられていた郷土料理です。

この地域は高麗時代の首都として、また高麗が滅亡した後も商業の中心地として栄えた都市でした。

もともと朝鮮半島の人々は、小麦粉ではなくそば粉で作ったそば餃子を食べていました。

それが高麗の都だった開城に伝えられ、ここで小麦粉の皮でつくる餃子に変わったと言われています。

さらに開城は豚肉の名産地でもあったため、餃子の具に豚肉も入れて作られるようになりました。

それが第二次世界大戦後にソウルに伝えられ、現在ではそば粉の餃子は姿を消し、小麦粉で作る餃子となりました。

開城餃子01
↑ ケソンピョンス

開城のもうひとつのマンドゥ料理は「ケソンビョンス(개성편수;開城片水)」と呼ばれ、四隅を合わせた菱形の独特の形をしています。

これは肉をあまり入れず、カボチャなどの野菜をたっぷりと入れ、夏に食べられることが多い料理です。

冷たくして食べることもありますし、あたたかく食べることもあるそうです。

開城餃子02
↑ 仁寺洞のケソンマンドゥ専門店「宮」

現在のソウルでも肉や野菜がたっぷり入ったケソンマンドゥは人気の料理で、あちこちに専門店があります。

特に有名なのは仁寺洞にある「宮」という食堂で、ここは北方からやってきた名物お祖母さんが作っている美味しい餃子の店として有名です。

※開城餃子の作り方
開城餃子05
しょう油スープの材料;牛のしり肉 150g、ねぎ、しょう油
餃子の皮の材料;小麦粉2カップ、冷水 1/2カップ、塩少々
餃子の具の材料;牛のひき肉、豚のひき肉、もやし、豆腐、キムチ、しいたけ
ヤンニョム(1);たたいたネギ、たたいたニンニク、こしょう、ごま塩、塩、しょう油
ヤンニョム(2);しょう油大さじ2杯、酢大さじ2杯、水大さじ2杯、砂糖少々、松の実を砕いた粉

1) 小麦粉2カップに塩水を入れかきまぜ、30分ほど冷蔵庫へ入れ熟成させる。
2) 牛肉、豚肉、しいたけをたたいて潰す。キムチはたたいた後、水気を切る。
3) 豆腐は布巾に巻いて、水気を除く。
4) もやしは沸かしたお湯に入れた後、すぐに取り出し、冷水に浸した後に細かく切る。
5) 大きな器に 2)、3)、4)を全ていれ混ぜ合わせ、ヤンニョム(1)を入れ、具を作る。
6) 冷蔵庫に入れておいた餃子の皮を出し、8cm程度の餃子の皮を作る。
7) 餃子の皮に具を入れ、半月形に包んだり、両端をつまんで帽子の形に作る。半月形に包んだ時は片側に松の実をはさむ。
8) 牛のしり肉でしょう油スープを作り、ゆでた餃子を入れる。
9) 器に盛り付けて、薄くそいだネギ、金糸玉子、千切りの唐辛子などで綺麗に飾りつける。
※ヤンニョム(2)は水餃子を作るときに必要になる調味料です。

開城餃子の美味しい食べ方は、餃子を皿にとり、スープとしょう油タレをかけ、4等分して食べます。

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[ 2014/01/30 10:10 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(2)

ノクトゥチヂミ(緑豆チヂミ)[再録]

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ノクトチヂミ01

ノクトゥチヂミ(녹두지짐)は韓国ではピンデトック(빈대떡)と呼ぶのが標準です。

他にもピンジャトック(빙자떡:貧者餅)と呼ばれることもあります。

ピンデトックは祭祀床(제사상;法事料理)や交子床(교자상;季節行事の料理)などで、炒めた牛肉を高く積み上げる時、下に敷き詰めるために作られていました。

そしてその残りを貧しい人たちに振舞っていたことから、貧しい人が食べる料理と考えられてきました。

しかし今ではひとつの料理として独立し、美味しい料理という位置を獲得しています。

祭祀床
↑祭祀床(NAVER画像出典)

最近でも雨の降る日に東大門市場に行けば、マッコリを飲みながらピンデトックを楽しむ人たちが沢山います。
(幽談;韓国人は雨が降るとピンデトックを作り、マッコリを飲む風習が残っています。昔の農村社会からの慣習ですが、現代人でも雨が降ると「今日はピンデトックを食べなくては…」という気持ちになるそうです。)

韓国の歌でも「お金がないなら、家に帰ってピンデトックでも食べて…」と歌われるほどですが、今では緑豆が非常に高価になってしまい、とても安い料理とは言えません。

特別な日という雰囲気を出すために、必ず出される料理のひとつに変わってしまいました。

また地方ごとに名称が違います。黄海道(황해도)では「マップチ(막붙이)、平安道(평안도)ではノクトゥチヂミ(녹두지짐)と呼ばれます。

それでは、我が家のノクトゥチヂミの作り方を紹介します。

ノクトチヂミ02
(ノクトゥチヂミの作り方)

材料;緑豆、焼いたキムチ、牛肉のミンチ、コサリ(韓国ワラビ)、トラジ(韓国桔梗)、ねぎ、ニンニク、塩少々

1) 緑豆を水でふやかして、挽きます。
2) 炒めたキムチと全ての材料を細かく切って、緑豆を挽いたものと混ぜます。
3) 油をひいたフライパンに、お好みの大きさで両面を焼けば出来上がりです。

各家庭で作り方は違いますが、我が家ではこのように作ります。

しかし実際の平安道地方のノクトゥチヂミは緑豆だけを挽いて、祭祀床に出しています。

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[ 2014/01/29 10:36 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

チャプチェ(雑菜)の話[再録]

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チャプチェ02

チャプチェ(雑菜)は朝鮮王朝時代にイチュン(이층)という人物が王に献上した料理と言われています。

王がその味をとても気に入ったため、王の関心を得て戸曹判士(注1)にまで登りつめたという話もあるほどです。

チャプチェは1670年『飲食知味方(음식디미방)』(注2)という書籍の記録が最古の文献といわれ、正祖大王(注3)が顕隆園(注4)で行う行事内容を整理した『園行乙卯整理儀軌(원형을묘정리의궤)』に記載されています。

当時は現在使われているタンメンを使っていませんでした。

けれども1912年に中国のタンメン技術を学んだ日本人が、平壌にタンメン工場を建て大量生産をするようになり、チャプチェにタンメンを使うようになったといいます。

またチャプチェは慶尚道の郷土料理でもありますが、見た目より手間がかかる料理の代表と言われているからか、日常的に作って食べるというよりは何か特別なことがあった日に食べたと言われています。

(チャプチェの作り方)
チャプチェ01

材料:牛肉、シイタケ、玉ねぎ、人参、ホウレン草、タンメン、錦糸卵

ヤンニョム(調味料):ごま油、ニンニク、生姜、ねぎ、醤油、ごま塩、胡椒

1) 牛肉とシイタケを細切りにします。
2) 玉ねぎと人参も細切りにして、炒めます。
3) ホウレン草はゆでた後、塩とにんにくを入れて和えます。
4) タンメンはゆでてから、醤油と水を少しいれて引っ張りながら混ぜます。
5) その他の材料を全部入れて、ごま油と胡椒を入れて混ぜ合わせます。

後はお好みの器によそって食べて下さい。

(幽の補足説明)
注1;戸曹判士(호조판사)とは戸曹判書という高麗時代からある官庁の長官の役職です。主に国家財政や税金に関係する仕事をする部署で、現在の日本なら財務省の大臣が一番近い役職でしょうかね。

注2;『飲食知味方(음식디미방)』とは朝鮮王朝後期に安東地方にいた鄭某さんの奥さんだった安東張氏(1598~1680)という女性が書き残した料理書です。娘や嫁に家の味を伝えるために書いたそうです。146項目にもわたる料理法が書き残されているだけでなく、ハングルで書かれた最初の料理書でもあり、当時の朝鮮半島に住む人々が何をどうやって食べていたのかを知らせてくれる貴重な史料として有名です。

注3;正祖大王(정조대왕)は、現在NHKで深夜放送されている「イサン」を見ている人なら知っているでしょうか??そのドラマの主人公です(笑)。朝鮮王朝第22代目の王として、復興期を担った天才君主と言われた人物です。お父さんが殺されちゃうのを若くして目撃したりと、結構波乱万丈な人生を送った王様です。

注4;顕隆園(현륭원)とは王陵の名前です。正祖が政争で敗れて非業の死を遂げた父を水原のこの地に移したのが始まりといわれます。現在では水原の華城と呼ばれています。世界文化遺産に登録されているので知っている人もいるのではないでしょうか??日本人観光客も沢山訪問している観光地になっています。近くにある水原カルビのお店が美味しかったなぁ~(笑)。


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[ 2014/01/28 10:47 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(4)

クジョルパン(구절판;九節板)[再録]

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クジョルパンの料理
↑ クジョルパン

クジョルパンは9つに分かれている漆をほどこした木器や、外側に華麗な螺鈿細工をほどこした器の名称です。

その真ん中に小麦粉で作ったミルチョンピョン(밀전병;小麦煎餅[クレープ])を置き、他の場所に牛肉、人参、シイタケ、錦糸卵、キュウリ、もやし、岩茸などを盛り付けます。

螺鈿のクジョルパン01
↑ 漆器の螺鈿細工で作られたクジョルパン~。李先生のお嫁入り道具です。しかし李先生は色々物持ちいいですねぇ~(^^)。

食べ方はクレープに具材を置き巻いて食べます。

主に交子床(교자상;お祝い料理)や酒案床(주안상;酒のつまみ料理)などの前菜料理として出されることが多い料理です。

螺鈿のクジョルパン02
↑ 表側には細かい螺鈿細工がほどこしてあります~

クジョルパンで最も重要になるのが、真ん中にある小麦粉のクレープです。

方信栄『朝鮮料理諸法(조리요리제법)』(注1)には、チャルチョンビョン(찰전병;もち米のクレープ)を作る方法が記載されており、次のように書かれています。

「もち米をすり潰して作った粉を冷水で混ぜ合わせ、箸で掬った時に少し落ちてくる程度のゆるさにします。そしてフライパンに油を引き、スプーンを使って綺麗に丸く焼きます。」

これは小麦粉で作ったクレープも同じことで、ゆるく作らないとスプーンで丸く作る時に綺麗な形にならないのです。

陶器のクジョルパン
↑ 陶磁器のクジョルパンもあります~

また漆器のクジョルパンはお湯で洗っては駄目で、ぬるま湯に浸した布巾で汚れを落とした後、乾いた布巾でふき取ります。

陶器のクジョルパン弁当02
↑ こちらは李先生が最近気に入って購入したという陶磁器のクジョルパン弁当セットです。購入の決め手は陶磁器の質感がとても良かったからだそうデス~。

(幽の補足説明)
注1)方信栄(방신영)[1890~1977]は、韓国の女子教育者・韓国料理の大家として知られている人物です。

1929年に韓国の有名女子大学である梨花女子大学家政科が創設された時に、初代の教授として就任しました。

また、彼女は2年間東京栄養学校に通ったこともあることも知られ、その生涯で多くの韓国料理を記録しました。

その著書のうち『朝鮮料理諸法(조선요리제법)』は、1931年に執筆され現在でも多くの韓国料理研究家に読み継がれている料理本です。

陶器のクジョルパン弁当01
↑ 李先生のこの九折板弁当セットも素敵な作品でした!!こういうの見ると料理をしたくなりますよねぇ~。

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[ 2014/01/27 10:18 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

『神仙爐』展レポート

シンソンロ展示会20140123-001
↑ 先日告知させて頂いた『神仙爐(신선로)』展のオープニングセレモニーに参加して来ましたので、ご報告させて頂きます!!

場所はご存知のとおり「北村博物館」。階段を降り、地下へ行ってください。

シンソンロ展示会20140123-002
↑ 事後報告が圧倒的に多いこのブログですが、珍しく来週の水曜日1月29日(水)まで開催中デス!!

シンソンロ展示会20140123-004
↑ こちらの展示会はワンフロアで、神仙爐関係の様々な器や史料が総勢60点ほど展示されているそうです。

ちなみに写真撮影については全てを逐次撮影するのは控えて欲しいけれど、遠景からならばOKとのこと。

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↑ 宮中飲食研究院の代表として、李先生が注文されたお花もキチンと届いてました。

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↑ ダムル工房総勢6名は、午後2時からのオープニングセレモニーに合わせて時間通りに来ていましたが、諸事情により始まりが少々遅れることに…。

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↑ でも待っている間に展示をゆっくりと見てまわることが出来ました。

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↑ チョガッポも1枚だけですが、見つけました!!

李先生も言ってましたが、器などの展示に積極的に活用しても良かったかも…。

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↑ 約20分遅れてオープニングセレモニーの始まりデス!!

先ずは宮中飲食研究院の院長、韓福麗先生の挨拶から。

最近の食生活の急激な変化によって韓国人でもほとんど食べることがなくなってしまった神仙爐。

今回の展示の目的は、そんな神仙爐を若い世代の人たちに体系的に知ってもらいたい…ということなんだそうな。

確かに幽も日常生活で神仙爐を食べるってことはないですからねぇ~。

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↑ そして引き続き韓福麗先生によって、展示会の解説に移ります。

神仙爐は宮中料理の代表格であるため、最後の宮中料理人でもあり初代朝鮮王朝宮中飲食技能保有者であった韓熙順先生、二代目黄慧性先生、そして三代目の韓福麗先生に至るまで、全てに神仙爐調理中の写真が残っているんだそうな!!

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↑ 韓福麗先生が展示品ひとつひとつを丁寧に解説して下さったおかげで、自分で観ていただけの時よりもかなり勉強になりました。

展示品の大多数を占める神仙爐の器だけをとってみても、色々なエピソードがあり奥深い!!

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↑ 文字入りの器は実用品というよりは贈答品の色合いが強かったり…

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↑ 時代が下ると料理に向かない小さな器なども、装飾品として作られるように…。

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↑ 1950年頃になると、一般家庭にも徐々に知られるようになり、実用的な器が普及した時期もあったそうです。

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↑ 神仙爐に入る具材や調味料の実物展示もありました。

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↑ 一緒に行った新村A氏に教えてもらったのですが、宮中料理ではクルミの渋皮まで全て綺麗に取り除くんだそうな!!

全ての材料に細心の注意を払い作るなんて、何という手間隙をかけて作っているんでしょう!!

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↑ 少し前まで韓国料理のなかで一番美味しいもの…と考えられていたこともあり、1900年代前半からの料理本の表紙を飾ることも多かったそうです。

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↑ 色々手間隙かかる料理ではありましたが、食生活が劇的に変わる1980年代まではまだ家庭で作られることもありました。

そのため調味料の広告などにもまだまだ神仙爐が使われたことも…。

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↑ ちなみにこちらは日本人には馴染み深い調味料、味の素。

韓国語ではそのまま「アジノモト(아지노모도)」と言っても通じますが、漢字読みにしてミウォン(미원:味元)とも言います。

現在では手間隙かかることから、家庭ではほとんど作られることがなくなってしまった神仙爐。

展示会ではこの他にも神仙爐にまつわる様々な文献、文藝作品なども紹介されており、幅広い視点から神仙爐を見直すことが出来るようになっています。

韓国料理に関心がある方ならば、絶対に興味深い展示会となっておりますので、是非一度足を運んで下さいネ!!

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[ 2014/01/23 10:57 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(4)

飯床(반상)について[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

9皿飯床
↑9皿飯床(9접반상)[NAVER出典画像]

最近の韓国でも、現代人たちは忙しいようで、長く続いてきた慣習が忘れられているようです。

そのためかは分かりませんが、飯床(반상)について聞かれることが多くなったのでまとめてみたいと思います。

飯床とは、ご飯とそれに合うおかずを準備して、食卓を整えることをいいます。

同じ意味ですが、王ならばスラサン(水刺床;수라상)、年寄りはチンジサン(진짓상)、子どもはパッサン(밥상)と呼ばれます。

一般的に3・5・7・9チョプ(첩)パンサン(반상;飯床)が基本です。

チョプ(첩)とはお皿を意味し、おかずを皿に盛り付け、その皿の数によりそれぞれの飯床に名前がつけられています。

パプサン01
↑ 3皿飯床(3첩반상)[NEVER出典画像を一部加工]

パプサン02
↑ 5皿飯床(5첩반상)[NEVER出典画像を一部加工]

パプサン03
↑ 7皿飯床(7첩반상)[NEVER出典画像を一部加工]

皿の数が奇数なのは、奇数は陽数として発生や成熟を意味し、吉数と考えられたためです。

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[ 2014/01/22 10:27 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

シンソンロ(신선로:神仙爐)[再録]

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

今回は明日行われると告知した展示会もあるので、予習も兼ねてシンソンロの復習です!!

↓   ↓   ↓

シンソンロ完成図
↑ シンソンロ

お祝いの日など、材料や薬味の全てが揃う時期にだけ作ることができる料理です。

シンソンロとは元々料理の名前ではなく、火爐(화로:火鉢のようなもの)と鍋を合体させて作った器のことを指していました。

そして神仙たちが使った器で食事をすれば、彼らのように寿命が長くなるだろうという願いが込められ、いつしか料理を指す言葉に変化しました。

また、別名ヨルグジャタン(열구자탕:悦口子湯)と呼ばれるように、食べて楽しいスープ料理と考えられています。

シンソンロ床
↑ 神仙爐床(신선로상)

シンソンロの文献としては、15~16世紀朝鮮王朝の文臣であった鄭希良(정희량)という人物が書いたものが残されています。

その文献とは『海東竹枝(해동죽지)』[1925年]という詩集で、その中に「山里近いところに住みながら、独特な火爐を使って料理を作っていた」という記述があるのです。

そして、その料理がとても美味しいだけでなく、見た目も華麗だったこと、そして彼が神仙のような風貌をしていたということから、シンソンロという名前が付けられたという説もあります。

李先生所有のシンソンロセット
↑ 李先生所有のシンソンロセット

またシンソンロは韓国人だけでなく外国人にも人気が高い料理の代表といわれています。

例えば薄田斬雲(1877~1956)という日本の小説家兼ジャーナリストが書いた『朝鮮漫畵(조선만화)』という本。

ここには「シンソンロが朝鮮料理の中で一番美味しい料理であり、日本人の口に合う料理である。日本人が朝鮮料理を食べる時はシンソンロから始めるとよい。」と書かれているそうです。

シンソンロ蓋をした状態
↑ シンソンロの器に蓋をするとこうなります。

また、1945年8月、植民地支配からの解放とともにソウルに入城してきた米軍兵士の口にもあったようです。

1945年12月2日付の東亜日報には「朝鮮料理で一番美味しいのはシンソンロ」と、米軍兵士が故郷に手紙を書いたという逸話が紹介されています。

シンソンロの器と火炉
↑ シンソンロの火爐と器

他にも1959年1月30日付の京郷新聞のインタビュー記事もあるそうです。

インタビューの対象者は当時韓国支部長婦人であったアメリカ人・ジェイムス女史。

彼女は「韓国生活ではオンドルがとても快適である。そして韓国料理の中では、シンソンロなら誰もが気に入る料理だろう。だから調理方法学び、器を買ってアメリカに持って帰りたい。シンソンロは国際的な料理になるかもしれない。」と賞賛しています。

シンソンロの器
↑ シンソンロの器拡大~

シンソンロを作る方法を学べば、それだけで色々な料理を作る方法を会得できます。

例えばスープ、肉団子、魚・キノコのジョン(煎)、錦糸卵の作り方、他にも料理を美しく見せる材料の切り方、盛り方など、料理に必要な基本を全て学ぶことができるのです。

つまりシンソンロは様々な料理法を駆使した総合的な料理と言えるのです。

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[ 2014/01/21 10:01 ] 韓国料理 韓国料理豆知識 | TB(-) | CM(0)

宮中の代表料理『神仙炉』展

シンソンロ行事案内
↑ 行事告知ポスター

李先生が所属されている宮中飲食研究院協力の行事を告知します。

日本人観光客にも人気が高い北村韓屋マウル(←クリック!!)ですが、この韓屋マウルの入り口にある「北村博物館(←クリック!!)」にて「宮中の代表料理『神仙炉』」展が催されます。

シンソンロ
↑ 神仙炉(宮中飲食研究院協力)

神仙炉(←クリック!!)に使われる数々の食器や、由来・歴史、さらには様々な種類の神仙炉やその美しいデザイン性まで、神仙炉の全てをご紹介します。

韓国で最も大きな名節のひとつである旧正月ソルナルを迎えるにあたり、見所満載の展示会となっております。

期間中こちら方面へいらっしゃるご予定がある方は、是非足をお運び下さい!!

期間:2014年1月22日(水)~29日(水)
時間:10:00~18:00(初日22日のみ14:00~)
場所:北村博物館(←クリック!!)


シンソンロ床
↑ 神仙炉床(宮中飲食研究院協力)

※オープニングセレモニー
日時:2014年1月22日(水)、14:00~
内容:参加者とともに展示内容の紹介・解説を楽しみます。


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[ 2014/01/20 10:38 ] 韓国料理 宮中飲食研究院 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

ダムル工房

Author:ダムル工房
日本人ゴーストライターが書く李賢淑先生の徒然雑記。

問い合わせメール先
damurukobo.pojagi0309@gmail.com
※「docome.ne.jp」のメールアドレスでは、何故かこちらから返信ができません。申し訳ありませんが他のメルアドから問い合わせして下さい。ご協力宜しくお願いします。
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