鋏の話[その2](再録)

ソウルの大学路で伝統工芸工房・ダムル工房を経営し、韓国宮中飲食研究院の郷土料理講師でもある李賢淑先生が毎日の生活のなかで感じた徒然雑記を日本語で紹介します。(たまに…、いや最近は結構な頻度でゴーストライターのダムル工房日記になることも…苦笑)

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鋏の話[その2](再録)

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

はさみの話②の01
↑ 韓国の食堂や家庭のキッチンで使われるキッチンハサミ

外国人が韓国へ来て驚く文化のひとつが、食卓でハサミを多用することだといいます。

外国人観光客だと、焼肉店で客の目の前で肉をハサミで切ったり、冷麺を食べやすく切ってくれる光景などをよく見るのではないでしょうか??

はさみの話②の02
↑ 工房では刺繍鋏以外だと、この裁ちバサミが大活躍です。

しかしこのような光景は90年代以降、外食文化が発達するなかで現れてきたもので、決して伝統的な文化とはいえません。

それより以前の韓国では食卓でハサミを多用することは全くありませんでした。

けれども現在の韓国の各家庭では、いつの間にか包丁代わりに食用ハサミを多用するように変化しています。

確かにちょっとした食材を切る時にはまな板いらずで、手軽ですからね。

はさみの話②の03
↑ ピッキングハサミももちろんよく使います。

つまり20年ちょっと前までは、韓国でも他国と同様にハサミの用途は主に布を裁断したり、髪を切ったりする道具だったのです。

ちなみに韓国の最も古いハサミと考えられているものは、三国時代(紀元後4世紀頃)新羅の首都であった慶州・芬皇寺(분황사)からの出土品です。このハサミは金銅製でした。

また同時代の高句麗でも、古墳の壁画に女性が手にハサミを持っている姿が描かれています。

はさみの話②の04
↑ この握り鋏は日本独特のハサミです。こういった形のハサミは他国にはありません。ちなみにこのハサミは日本人の生徒さんの忘れ物です。自分のモノだと分かったなら、ダムル工房に保管してありますので、受け取りに来てください~。

それが7世紀の統一新羅時代になると、ハサミの刃がX字形に交差し、真ん中を固定ネジで留める形になりました。

さらに14世紀の朝鮮王朝時代になるとハサミの持ち手の部分が現在のような湾曲した形になり、現在とほぼ同じ形を持つハサミになったようです。

はさみの話②の05
↑ モシでハサミカバーを作っています~。どなたか心当たりはありませんか??

そしてハサミが現在のような形として完成すると、その後の韓半島では、いつしかハサミがその形から「二股をかける(浮気をする)」という意味を持つようになりました。

その結果、ハサミが持つ暗喩の解釈を巡り悲劇的な結末をむかえる人物がいます。

朝鮮王朝時代の有名な詩人、キムウォンソ(김원소)です。

はさみの話②の06
↑ この独特な形をした作業バサミも日本製です~。デザインをメモしながら作業をする時にとても便利なハサミです。

彼は新婚初夜に新婦の才能を試そうとして、ハサミを素材に詩を作ってみろと要求します。

新婦は彼の要望に答えて、初夜の雰囲気とハサミの特性を生かした詩を読みます。

しかし、この詩を聞いたキムウォンソは彼女を淫乱な女性だと非難し、家に送り返してしまいます。

真意が伝わらなかった彼女は絶望して実家で自殺してしまうのですが、その知らせを聞いてキムウォンソは自分が彼女の詩を誤解して解釈していたことを知るのです。

その後、彼は後悔のあまり俗世を捨てて僧侶になり、彼女を一生弔ったという話です。

何とも後味の悪い話ですが、これも当時ハサミに「二股をかける」という意味が隠れていたことから起こった悲劇といえるのでしょうね。

はさみの話②の07
↑ これは何とハサミの刃の部分に定規のメモリが付いているスグレモノです。ちょっとした物の大きさを測ったり、目分量でチョガッポの小さな端切れを切る時にとても重宝します。素晴らしいアイディアだと思います。

また現在でも信じられている迷信として、女性が嫁ぐ時にハサミや包丁は絶対に持っていってはいけない品物とされています。

これはハサミや包丁が「婚家との情を絶つ」ものとして考えられているためで、新婦の実母は嫁入り道具にこれらのものが入らないように気をつけます。

けれども万一何かしらの事情で持って行かねばならない時は、婚家の誰かにその分の代価を支払ってもらえれば、持っていくことが可能とされています。

私たちの身近に当たり前にある道具たちにも様々な逸話があって、本当に興味深いものですね。

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[ 2013/12/20 10:38 ] ポジャギ チョガッポの道具 | TB(-) | CM(0)
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