縫い針(바늘)のはなし

ソウルの大学路で伝統工芸工房・ダムル工房を経営し、韓国宮中飲食研究院の郷土料理講師でもある李賢淑先生が毎日の生活のなかで感じた徒然雑記を日本語で紹介します。(たまに…、いや最近は結構な頻度でゴーストライターのダムル工房日記になることも…苦笑)

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縫い針(바늘)のはなし

縫い針01
↑ 縫い針いろいろ

チョガッポや手まりを作る時に絶対欠かせない道具のひとつに縫い針(바늘)があります。私にとって、縫い針とは数十年間1日も手放したことはないほど身近で大切な道具です。

縫い針02
↑ ノバンやオクサのチョガッポを作る時に使用する針。12番のものが最適です。

私にとって何よりも身近な道具である縫い針ですが、私が使う縫い針は全て日本製です。私の知る限り、現在の韓国に縫い針の製造メーカーはありません。韓国で手に入る縫い針は、主に中国製、日本製、あとはドイツやイタリアなどのヨーロッパ製のものが中心です。

縫い針03
↑ 右側のポジャギ針は7年ほど前に広島のチューリップ社の営業さんに商品提案したところ、社長が商品化して下さった思い出深い針です。スコサやモシのチョガッポに最適な縫い針です。

私は色々な縫い針を試してみて、品質と使いやすさから広島のチューリップ社の商品を一番多く愛用しています。聞いたところによると広島県は、縫い針の日本におけるシェアがほぼ100%といわれているほど有名な地方だそうですね??

縫い針04
↑ チューリップ社以外だと、これらもモシやスコサに適した縫い針です。

何でも人類が縫い針を手にするのは、紀元前4000年以上も昔に遡るそうです。最初は動物や魚の骨を縫い針として使用していたとのこと。それらに現在の縫い針のような針穴はなく、石などで毛皮に穴を開けて縫っていたそうです。

縫い針05
↑ 数字が小さくなるほど針が太くなります。これはムミョンやサンベのような分厚い布を縫う時に使用します。13番はヤンダンやムミョンに刺繍を入れるときなどにもよく使います。

現在のような針穴がついた金属性の縫い針は、紀元前1300年ころ中国で発明されたと言われています。そしてそれが中国からヨーロッパ、その後韓半島から日本へもたらされたそうです。そして韓半島でも刀鍛冶に携わる人々が縫い針を作っていたと思われますが、時代の趨勢のなかでその文化は消えてしまったようです。

縫い針06
↑ ヤンダンやミョンジュのような冬用の布を縫う時に最適な針

しかしつい最近まで、縫い針は人々の生活に欠かせない重要な道具のひとつでした。針刺しのところでも書きましたが、韓半島では針治療がとても発達していたので、繕い物以外にも老若男女全ての人にとっての必需品だったからです。

縫い針07
↑ しつけ用にはこのような針を使います。

そのため縫い針に関する文献も色々残されています。その中で最も有名なものが『弔針文(조침문)』という随筆書です。この文献は朝鮮王朝時代、子どもに恵まれず寡婦となってしまった兪氏夫人という女性が、自分にとってとても大切な道具であった縫い針を擬人化して書いた文章です。

縫い針08
↑ こちらは手まりを作る時に使用する針たち

自分が27年間使って来た縫い針が折れてしまったことで、長年心の支えとした友を失ったかのように悲しむという内容となっています。この文章を読むと昔の女性がどれだけ縫い針を大切に思っていたのかが分かり、日頃当たり前のように手にしている道具全てに対して、新たな気付きを与えてくれます。

縫い針09
↑ 皮製品などを扱う特殊針などもあります。縫い針だけみても本当に奥深いですね。

縫い針10
↑ これはプレゼントで頂いた珍しい針です。今は2本しかありません。分かりにくいかもしれませんが、この針には針穴が2つあるのです。何でも2つの穴にそれぞれ違う色の糸を通すことで変わった色合いの刺繍ができるそうです。

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縫い針について
こんにちは!御元気でしょうか?
日本では大事に使用して折れた針はまとめて保存して一年に一度針供養と言って折れた針を豆腐に刺して供養をします。現在誰もがやっている訳ではありませんが、服装学院などではやっている所もあります。針を大切にする心が込められた行事だったのでしょう!韓国にはありますか?
                     Keiko
[ 2012/06/04 15:17 ] [ 編集 ]
残念ながら
>Keiko氏へ

お久しぶりです!李先生に尋ねてみたところ、韓国ではそのような風習はないそうです。

私も韓国のお寺で針供養や人形供養などしているのを見たことありません。韓国では朝鮮王朝時代に仏教が迫害された背景があるからだと思われます。

朝鮮王朝では高麗時代に大きな勢力を持った寺院の力を徹底的に抑えようとしたのです。そのため朝鮮半島において針供養のような宗教的な行事はほとんど残っていないのです。
[ 2012/06/04 16:23 ] [ 編集 ]
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