ポジャギと伝統料理の文化散策

ソウルの大学路で伝統工芸工房・ダムル工房を経営し、韓国宮中飲食研究院の郷土料理講師でもある李賢淑先生が毎日の生活のなかで感じた徒然雑記を日本語で紹介します。(たまに…、いや最近は結構な頻度でゴーストライターのダムル工房日記になることも…苦笑)

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鋏の話[その2](再録)

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

はさみの話②の01
↑ 韓国の食堂や家庭のキッチンで使われるキッチンハサミ

外国人が韓国へ来て驚く文化のひとつが、食卓でハサミを多用することだといいます。

外国人観光客だと、焼肉店で客の目の前で肉をハサミで切ったり、冷麺を食べやすく切ってくれる光景などをよく見るのではないでしょうか??

はさみの話②の02
↑ 工房では刺繍鋏以外だと、この裁ちバサミが大活躍です。

しかしこのような光景は90年代以降、外食文化が発達するなかで現れてきたもので、決して伝統的な文化とはいえません。

それより以前の韓国では食卓でハサミを多用することは全くありませんでした。

けれども現在の韓国の各家庭では、いつの間にか包丁代わりに食用ハサミを多用するように変化しています。

確かにちょっとした食材を切る時にはまな板いらずで、手軽ですからね。

はさみの話②の03
↑ ピッキングハサミももちろんよく使います。

つまり20年ちょっと前までは、韓国でも他国と同様にハサミの用途は主に布を裁断したり、髪を切ったりする道具だったのです。

ちなみに韓国の最も古いハサミと考えられているものは、三国時代(紀元後4世紀頃)新羅の首都であった慶州・芬皇寺(분황사)からの出土品です。このハサミは金銅製でした。

また同時代の高句麗でも、古墳の壁画に女性が手にハサミを持っている姿が描かれています。

はさみの話②の04
↑ この握り鋏は日本独特のハサミです。こういった形のハサミは他国にはありません。ちなみにこのハサミは日本人の生徒さんの忘れ物です。自分のモノだと分かったなら、ダムル工房に保管してありますので、受け取りに来てください~。

それが7世紀の統一新羅時代になると、ハサミの刃がX字形に交差し、真ん中を固定ネジで留める形になりました。

さらに14世紀の朝鮮王朝時代になるとハサミの持ち手の部分が現在のような湾曲した形になり、現在とほぼ同じ形を持つハサミになったようです。

はさみの話②の05
↑ モシでハサミカバーを作っています~。どなたか心当たりはありませんか??

そしてハサミが現在のような形として完成すると、その後の韓半島では、いつしかハサミがその形から「二股をかける(浮気をする)」という意味を持つようになりました。

その結果、ハサミが持つ暗喩の解釈を巡り悲劇的な結末をむかえる人物がいます。

朝鮮王朝時代の有名な詩人、キムウォンソ(김원소)です。

はさみの話②の06
↑ この独特な形をした作業バサミも日本製です~。デザインをメモしながら作業をする時にとても便利なハサミです。

彼は新婚初夜に新婦の才能を試そうとして、ハサミを素材に詩を作ってみろと要求します。

新婦は彼の要望に答えて、初夜の雰囲気とハサミの特性を生かした詩を読みます。

しかし、この詩を聞いたキムウォンソは彼女を淫乱な女性だと非難し、家に送り返してしまいます。

真意が伝わらなかった彼女は絶望して実家で自殺してしまうのですが、その知らせを聞いてキムウォンソは自分が彼女の詩を誤解して解釈していたことを知るのです。

その後、彼は後悔のあまり俗世を捨てて僧侶になり、彼女を一生弔ったという話です。

何とも後味の悪い話ですが、これも当時ハサミに「二股をかける」という意味が隠れていたことから起こった悲劇といえるのでしょうね。

はさみの話②の07
↑ これは何とハサミの刃の部分に定規のメモリが付いているスグレモノです。ちょっとした物の大きさを測ったり、目分量でチョガッポの小さな端切れを切る時にとても重宝します。素晴らしいアイディアだと思います。

また現在でも信じられている迷信として、女性が嫁ぐ時にハサミや包丁は絶対に持っていってはいけない品物とされています。

これはハサミや包丁が「婚家との情を絶つ」ものとして考えられているためで、新婦の実母は嫁入り道具にこれらのものが入らないように気をつけます。

けれども万一何かしらの事情で持って行かねばならない時は、婚家の誰かにその分の代価を支払ってもらえれば、持っていくことが可能とされています。

私たちの身近に当たり前にある道具たちにも様々な逸話があって、本当に興味深いものですね。

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[ 2013/12/20 10:38 ] ポジャギ チョガッポの道具 | TB(-) | CM(0)

鋏の話[その1](再録)

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

刺繍ハサミ01
↑ イタリア製の刺繍ハサミ。使いやすくて愛用しています。

針と同様、毎日のようにお世話になっている道具にハサミ(가위)もあります。

ハサミとひとくちに言っても用途によって、それは沢山の種類のハサミがあります。

私が仕事でお世話になるハサミは主に裁ち鋏と刺繍鋏ですね。

刺繍ハサミ02
↑ こちらはドイツ製の刺繍ハサミです~

特に刺繍鋏は凝ったデザインの可愛らしいものが多いため、気になったものを購入するうちにちょっとしたコレクション並みになってしまいました。

今では世界各国の可愛い刺繍鋏を見ると、つい購入・収集してしまいます。

刺繍ハサミ03
↑ パキスタン製のハサミ。これは医療用はさみなのですが、とても切れ味がよいので、刺繍鋏として使っています。パキスタンの医療用ハサミは世界的に高い評価を得ているのだそうです。

針と同様、ハサミの歴史を紐解くと、これまた面白い話が溢れています。

先ずハサミの誕生が紀元前1300~600年前の古代バビロニアに始まり、その当時から約2500年間という長い時間、ほとんどその形態が変わっていないということに驚ろかされます。

つまりハサミは誕生した当初から完成した道具だったということですね。

刺繍ハサミ04
↑ 先日、sono氏がプレゼントしてくれたドイツ製の刺繍ハサミ。sono氏、どうも有難う~。大切に使います。これもよく切れますねぇ~。

材質については、紀元前1570~1293年まで続くエジプト第18王朝の時代には青銅製のハサミが誕生し、古代バビロニアの文献や旧約聖書にはすでに羊毛を刈る鉄製ハサミの記録が残されているそうです。

刺繍ハサミ05
↑ こちらは展示会でH氏がお土産に買ってきてくれました。中国製の刺繍ハサミです。とても可愛いデザインですよねぇ~。

一方、東洋の記録となると、中国の前漢時代(紀元前208~8年)がハサミについての最初の記録になるようです。

そして韓半島での最も古いハサミは、新羅時代(紀元後356~935年)の石塔から発掘された出土品があります。

その後、約6世紀頃には韓半島から日本に伝わったといわれているようです。

刺繍ハサミ06
↑ ハータンガー刺繍専用の刺繍ハサミ。独特な刃先をしています。

明日は日常生活の至るところで活躍するハサミ大国、韓国のハサミの歴史についてお話しますね。

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[ 2013/12/19 10:57 ] ポジャギ チョガッポの道具 | TB(-) | CM(0)

続・縫い針の話(再録)

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

続縫い針001
↑ オクサの作品。

チューリップ社「キルティング針No.12」で作りました。

続縫い針002
↑ これも同じ針を使って完成。

ソウル食堂というレストランから依頼を受けて完成させました。

明後日にでも納品に行きます。初めは他の方にミシンで作って欲しいという依頼だったそうですが、巡り巡って何故か私のところに舞い込んでくることに…。

もちろん手縫いで製作しました。

続縫い針003
↑ これがチューリップ社の「キルティング針No.12」。

ノバンやオクサなどの透明感のある生地の場合はこれに限ります。

続縫い針004
↑ ダムル工房の初心者の生徒さんに一番売れている縫い針は「ハワイアンキルトNo.12」です。

同じ大きさの針ではなく、色々な大きさの針が入っているのが、初心者の方には好評のようです。

あと色々な作品を幅広く作りたい生徒さんもよく買っていきますね。

中上級者になると、やはりポジャギ針やキルティング針の方の需要が高いようです。

特定のチョガッポ作品数が多くなったり、大作に挑む人が増えるからでしょうね。

続縫い針005
↑ 手まり用に使う待ち針もチューリップ社製のものです。

中国製の針だと、突き刺した時の針のすべりが悪く、すぐ折れてしまいますが、ここの待ち針は変な引っかかり感がなく折れにくいので気に入っています。

縫い針08
↑ 本来はふとん用の針だそうですが、かなり大きな手まり作品を作っても折れることがありません。

てまり作品は大きくなればなるほど、針への負担も大きくなります。

そのためてまりの大作に挑戦する時は、日本製の針でないと作業が全く進みません。

続縫い針007
↑ 日本手工芸指導協会の展示会で見かけて、一目ぼれしました。

ノルウェーのハータンガー刺繍です。しかし慣れるまでは中々難しいものですね。

縫い針はハータンガー刺繍専用針ということで、日本で購入してもらいました。

ノルウェーにはハータンガー刺繍専用の縫い針製造メーカーがあるのでしょうか??

気になります…。

続縫い針008
↑ 日本では世界各国の手工芸のレシピ本が充実していて、とても羨ましいです。

いつか本場のハータンガー刺繍を学びにノルウェーに行きたいです。

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[ 2013/12/18 10:45 ] ポジャギ チョガッポの道具 | TB(-) | CM(0)

縫い針の話(再録)

李先生からの要請で以前一度載せた記事を再録させて頂きます。

この回顧シリーズに際して、同じ記事の再録なんて読者さまに受け入れてもらえるだろうか??と、少々心配もしておりましたが、新規生徒さん方には概ね好評のようでホッとひと安心しております。

常連の生徒さんからもご理解頂いているようで本当に有難うございます。m(_ _)m

以下、以前書いたものと同じ内容になります。

↓   ↓   ↓

縫い針01
↑ 縫い針いろいろ

チョガッポや手まりを作る時に絶対欠かせない道具のひとつに縫い針(바늘)があります。

私にとって、縫い針とは数十年間1日も手放したことはないほど身近で大切な道具です。

縫い針02
↑ ノバンやオクサのチョガッポを作る時に使用する針。12番のものが最適です。

私にとって何よりも身近な道具である縫い針ですが、私が使う縫い針は全て日本製です。

私の知る限り、現在の韓国に縫い針の製造メーカーはありません。

韓国で手に入る縫い針は、主に中国製、日本製、あとはドイツやイタリアなどのヨーロッパ製のものが中心です。

縫い針03
↑ 右側のポジャギ針は7年ほど前に広島のチューリップ社の営業さんに商品提案したところ、社長が商品化して下さった思い出深い針です。

スコサやモシのチョガッポに最適な縫い針です。


私は色々な縫い針を試してみて、品質と使いやすさから広島のチューリップ社の商品を一番多く愛用しています。

聞いたところによると広島県は、縫い針の日本におけるシェアがほぼ100%といわれているほど有名な地方だそうですね??

縫い針04
↑ チューリップ社以外だと、これらもモシやスコサに適した縫い針です。

何でも人類が縫い針を手にするのは、紀元前4000年以上も昔に遡るそうです。

最初は動物や魚の骨を縫い針として使用していたとのこと。

それらに現在の縫い針のような針穴はなく、石などで毛皮に穴を開けて縫っていたそうです。

縫い針05
↑ 数字が小さくなるほど針が太くなります。

これはムミョンやサンベのような分厚い布を縫う時に使用します。

13番はヤンダンやムミョンに刺繍を入れるときなどにもよく使います。


現在のような針穴がついた金属性の縫い針は、紀元前1300年ころ中国で発明されたと言われています。

そしてそれが中国からヨーロッパ、その後韓半島から日本へもたらされたそうです。

そして韓半島でも刀鍛冶に携わる人々が縫い針を作っていたと思われますが、時代の趨勢のなかでその文化は消えてしまったようです。

縫い針06
↑ ヤンダンやミョンジュのような冬用の布を縫う時に最適な針

しかしつい最近まで、縫い針は人々の生活に欠かせない重要な道具のひとつでした。

針刺しのところでも書きましたが、韓半島では針治療がとても発達していたので、繕い物以外にも老若男女全ての人にとっての必需品だったからです。

縫い針07
↑ しつけ用にはこのような針を使います。

そのため縫い針に関する文献も色々残されています。

その中で最も有名なものが『弔針文(조침문)』という随筆書です。

この文献は朝鮮王朝時代、子どもに恵まれず寡婦となってしまった兪氏夫人という女性が、自分にとってとても大切な道具であった縫い針を擬人化して書いた文章です。

縫い針08
↑ こちらは手まりを作る時に使用する針たち

自分が27年間使って来た縫い針が折れてしまったことで、長年心の支えとした友を失ったかのように悲しむという内容となっています。

この文章を読むと昔の女性がどれだけ縫い針を大切に思っていたのかが分かり、日頃当たり前のように手にしている道具全てに対して、新たな気付きを与えてくれます。

縫い針09
↑ 皮製品などを扱う特殊針などもあります。

縫い針だけみても本当に奥深いですね。


縫い針10
↑ これはプレゼントで頂いた珍しい針です。今は2本しかありません。

分かりにくいかもしれませんが、この針には針穴が2つあるのです。

何でも2つの穴にそれぞれ違う色の糸を通すことで変わった色合いの刺繍ができるそうです。


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[ 2013/12/17 10:16 ] ポジャギ チョガッポの道具 | TB(-) | CM(0)

鋏(가위)のはなし②

はさみの話②の01
↑ 韓国の食堂や家庭のキッチンで使われるキッチンハサミ

外国人が韓国へ来て驚く文化のひとつが、食卓でハサミを多用することだといいます。外国人観光客だと、焼肉店で客の目の前で肉をハサミで切ったり、冷麺を食べやすく切ってくれる光景などをよく見るのではないでしょうか??

はさみの話②の02
↑ 工房では刺繍鋏以外だと、この裁ちバサミが大活躍です。

しかしこのような光景は90年代以降、外食文化が発達するなかで現れてきたもので、決して伝統的な文化とはいえません。それより以前の韓国では食卓でハサミを多用することは全くありませんでした。けれども現在の韓国の各家庭では、いつの間にか包丁代わりに食用ハサミを多用するように変化しています。確かにちょっとした食材を切る時にはまな板いらずで、手軽ですからね。

はさみの話②の03
↑ ピッキングハサミももちろんよく使います。

つまり20年ちょっと前までは、韓国でも他国と同様にハサミの用途は主に布を裁断したり、髪を切ったりする道具だったのです。ちなみに韓国の最も古いハサミと考えられているものは、三国時代(紀元後4世紀頃)新羅の首都であった慶州・芬皇寺(분황사)からの出土品です。このハサミは金銅製でした。また同時代の高句麗でも、古墳の壁画に女性が手にハサミを持っている姿が描かれています。

はさみの話②の04
↑ この握り鋏は日本独特のハサミです。こういった形のハサミは他国にはありません。ちなみにこのハサミは日本人の生徒さんの忘れ物です。自分のモノだと分かったなら、ダムル工房に保管してありますので、受け取りに来てください~。

それが7世紀の統一新羅時代になると、ハサミの刃がX字形に交差し、真ん中を固定ネジで留める形になりました。さらに14世紀の朝鮮王朝時代になるとハサミの持ち手の部分が現在のような湾曲した形になり、現在とほぼ同じ形を持つハサミになったようです。

はさみの話②の05
↑ モシでハサミカバーを作っています~。どなたか心当たりはありませんか??

そしてハサミが現在のような形として完成すると、その後の韓半島では、いつしかハサミがその形から「二股をかける(浮気をする)」という意味を持つようになりました。その結果、ハサミが持つ暗喩の解釈を巡り悲劇的な結末をむかえる人物がいます。朝鮮王朝時代の有名な詩人、キムウォンソ(김원소)です。

はさみの話②の06
↑ この独特な形をした作業バサミも日本製です~。デザインをメモしながら作業をする時にとても便利なハサミです。

彼は新婚初夜に新婦の才能を試そうとして、ハサミを素材に詩を作ってみろと要求します。新婦は彼の要望に答えて、初夜の雰囲気とハサミの特性を生かした詩を読みます。しかし、この詩を聞いたキムウォンソは彼女を淫乱な女性だと非難し、家に送り返してしまいます。真意が伝わらなかった彼女は絶望して実家で自殺してしまうのですが、その知らせを聞いてキムウォンソは自分が彼女の詩を誤解して解釈していたことを知るのです。その後、彼は後悔のあまり俗世を捨てて僧侶になり、彼女を一生弔ったという話です。何とも後味の悪い話ですが、これも当時ハサミに「二股をかける」という意味が隠れていたことから起こった悲劇といえるのでしょうね。

はさみの話②の07
↑ これは何とハサミの刃の部分に定規のメモリが付いているスグレモノです。ちょっとした物の大きさを測ったり、目分量でチョガッポの小さな端切れを切る時にとても重宝します。素晴らしいアイディアだと思います。

また現在でも信じられている迷信として、女性が嫁ぐ時にハサミや包丁は絶対に持っていってはいけない品物とされています。これはハサミや包丁が「婚家との情を絶つ」ものとして考えられているためで、新婦の実母は嫁入り道具にこれらのものが入らないように気をつけます。けれども万一何かしらの事情で持って行かねばならない時は、婚家の誰かにその分の代価を支払ってもらえれば、持っていくことが可能とされています。私たちの身近に当たり前にある道具たちにも様々な逸話があって、本当に興味深いものですね。

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鋏(가위)のはなし①

刺繍ハサミ01
↑ イタリア製の刺繍ハサミ。使いやすくて愛用しています。

針と同様、毎日のようにお世話になっている道具にハサミ(가위)もあります。ハサミとひとくちに言っても用途によって、それは沢山の種類のハサミがあります。私が仕事でお世話になるハサミは主に裁ち鋏と刺繍鋏ですね。

刺繍ハサミ02
↑ こちらはドイツ製の刺繍ハサミです~

特に刺繍鋏は凝ったデザインの可愛らしいものが多いため、気になったものを購入するうちにちょっとしたコレクション並みになってしまいました。今では世界各国の可愛い刺繍鋏を見ると、つい購入・収集してしまいます。

刺繍ハサミ03
↑ パキスタン製のハサミ。これは医療用はさみなのですが、とても切れ味がよいので、刺繍鋏として使っています。パキスタンの医療用ハサミは世界的に高い評価を得ているのだそうです。

針と同様、ハサミの歴史を紐解くと、これまた面白い話が溢れています。先ずハサミの誕生が紀元前1300~600年前の古代バビロニアに始まり、その当時から約2500年間という長い時間、ほとんどその形態が変わっていないということに驚ろかされます。つまりハサミは誕生した当初から完成した道具だったということですね。

刺繍ハサミ04
↑ 先日、sono氏がプレゼントしてくれたドイツ製の刺繍ハサミ。sono氏、どうも有難う~。大切に使います。これもよく切れますねぇ~。

材質については、紀元前1570~1293年まで続くエジプト第18王朝の時代には青銅製のハサミが誕生し、古代バビロニアの文献や旧約聖書にはすでに羊毛を刈る鉄製ハサミの記録が残されているそうです。

刺繍ハサミ05
↑ こちらは展示会でH氏がお土産に買ってきてくれました。中国製の刺繍ハサミです。とても可愛いデザインですよねぇ~。

一方、東洋の記録となると、中国の前漢時代(紀元前208~8年)がハサミについての最初の記録になるようです。そして韓半島での最も古いハサミは、新羅時代(紀元後356~935年)の石塔から発掘された出土品があります。その後、約6世紀頃には韓半島から日本に伝わったといわれているようです。

刺繍ハサミ06
↑ ハータンガー刺繍専用の刺繍ハサミ。独特な刃先をしています。

明日は日常生活の至るところで活躍するハサミ大国、韓国のハサミの歴史についてお話しますね。

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続・縫い針のはなし

続縫い針001
↑ オクサの作品。チューリップ社「キルティング針No.12」で作りました。

続縫い針002
↑ これも同じ針を使って完成。ソウル食堂というレストランから依頼を受けて完成させました。明後日にでも納品に行きます。初めは他の方にミシンで作って欲しいという依頼だったそうですが、巡り巡って何故か私のところに舞い込んでくることに…。もちろん手縫いで製作しました。

続縫い針003
↑ これがチューリップ社の「キルティング針No.12」。ノバンやオクサなどの透明感のある生地の場合はこれに限ります。

続縫い針004
↑ ダムル工房の初心者の生徒さんに一番売れている縫い針は「ハワイアンキルトNo.12」です。同じ大きさの針ではなく、色々な大きさの針が入っているのが、初心者の方には好評のようです。あと色々な作品を幅広く作りたい生徒さんもよく買っていきますね。中上級者になると、やはりポジャギ針やキルティング針の方の需要が高いようです。特定のチョガッポ作品数が多くなったり、大作に挑む人が増えるからでしょうね。

続縫い針005
↑ 手まり用に使う待ち針もチューリップ社製のものです。中国製の針だと、突き刺した時の針のすべりが悪く、すぐ折れてしまいますが、ここの待ち針は変な引っかかり感がなく折れにくいので気に入っています。

縫い針08
↑ 本来はふとん用の針だそうですが、かなり大きな手まり作品を作っても折れることがありません。てまり作品は大きくなればなるほど、針への負担も大きくなります。そのためてまりの大作に挑戦する時は、日本製の針でないと作業が全く進みません。

続縫い針007
↑ 日本手工芸指導協会の展示会で見かけて、一目ぼれしました。ノルウェーのハータンガー刺繍です。しかし慣れるまでは中々難しいものですね。縫い針はハータンガー刺繍専用針ということで、日本で購入してもらいました。ノルウェーにはハータンガー刺繍専用の縫い針製造メーカーがあるのでしょうか??気になります…。

続縫い針008
↑ 日本では世界各国の手工芸のレシピ本が充実していて、とても羨ましいです。いつか本場のハータンガー刺繍を学びにノルウェーに行きたいです。

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縫い針(바늘)のはなし

縫い針01
↑ 縫い針いろいろ

チョガッポや手まりを作る時に絶対欠かせない道具のひとつに縫い針(바늘)があります。私にとって、縫い針とは数十年間1日も手放したことはないほど身近で大切な道具です。

縫い針02
↑ ノバンやオクサのチョガッポを作る時に使用する針。12番のものが最適です。

私にとって何よりも身近な道具である縫い針ですが、私が使う縫い針は全て日本製です。私の知る限り、現在の韓国に縫い針の製造メーカーはありません。韓国で手に入る縫い針は、主に中国製、日本製、あとはドイツやイタリアなどのヨーロッパ製のものが中心です。

縫い針03
↑ 右側のポジャギ針は7年ほど前に広島のチューリップ社の営業さんに商品提案したところ、社長が商品化して下さった思い出深い針です。スコサやモシのチョガッポに最適な縫い針です。

私は色々な縫い針を試してみて、品質と使いやすさから広島のチューリップ社の商品を一番多く愛用しています。聞いたところによると広島県は、縫い針の日本におけるシェアがほぼ100%といわれているほど有名な地方だそうですね??

縫い針04
↑ チューリップ社以外だと、これらもモシやスコサに適した縫い針です。

何でも人類が縫い針を手にするのは、紀元前4000年以上も昔に遡るそうです。最初は動物や魚の骨を縫い針として使用していたとのこと。それらに現在の縫い針のような針穴はなく、石などで毛皮に穴を開けて縫っていたそうです。

縫い針05
↑ 数字が小さくなるほど針が太くなります。これはムミョンやサンベのような分厚い布を縫う時に使用します。13番はヤンダンやムミョンに刺繍を入れるときなどにもよく使います。

現在のような針穴がついた金属性の縫い針は、紀元前1300年ころ中国で発明されたと言われています。そしてそれが中国からヨーロッパ、その後韓半島から日本へもたらされたそうです。そして韓半島でも刀鍛冶に携わる人々が縫い針を作っていたと思われますが、時代の趨勢のなかでその文化は消えてしまったようです。

縫い針06
↑ ヤンダンやミョンジュのような冬用の布を縫う時に最適な針

しかしつい最近まで、縫い針は人々の生活に欠かせない重要な道具のひとつでした。針刺しのところでも書きましたが、韓半島では針治療がとても発達していたので、繕い物以外にも老若男女全ての人にとっての必需品だったからです。

縫い針07
↑ しつけ用にはこのような針を使います。

そのため縫い針に関する文献も色々残されています。その中で最も有名なものが『弔針文(조침문)』という随筆書です。この文献は朝鮮王朝時代、子どもに恵まれず寡婦となってしまった兪氏夫人という女性が、自分にとってとても大切な道具であった縫い針を擬人化して書いた文章です。

縫い針08
↑ こちらは手まりを作る時に使用する針たち

自分が27年間使って来た縫い針が折れてしまったことで、長年心の支えとした友を失ったかのように悲しむという内容となっています。この文章を読むと昔の女性がどれだけ縫い針を大切に思っていたのかが分かり、日頃当たり前のように手にしている道具全てに対して、新たな気付きを与えてくれます。

縫い針09
↑ 皮製品などを扱う特殊針などもあります。縫い針だけみても本当に奥深いですね。

縫い針10
↑ これはプレゼントで頂いた珍しい針です。今は2本しかありません。分かりにくいかもしれませんが、この針には針穴が2つあるのです。何でも2つの穴にそれぞれ違う色の糸を通すことで変わった色合いの刺繍ができるそうです。

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日本人ゴーストライターが書く李賢淑先生の徒然雑記。

問い合わせメール先
damurukobo.pojagi0309@gmail.com
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