ポジャギと伝統料理の文化散策

ソウルの大学路で伝統工芸工房・ダムル工房を経営し、韓国宮中料理研究院の郷土料理講師である李賢淑先生が毎日の生活のなかで感じたひとりごとを日本語で紹介します。

北方の郷土料理⑧(その2)

ナスの味噌炒め
↑ 2品目はナスの味噌炒め(가지된장볶음)

また北韓の市場で売られる人気商品についても面白い話が聞けました。最近の北韓でとてもよく売れる食品はオトゥギ(오뚜기:韓国の食品会社)ブランドのリンゴ酢と醸造酢なのだそうです。1.8ℓ入りのリンゴ酢は北韓のお金で23,000ウォン(韓国ウォンだと約7,000ウォン相当)、醸造酒は19,000ウォン(同じく約6,000ウォン)で取引されているとのこと。韓国ではリンゴ酢は約3,000ウォン、醸造酢が約2,000ウォンで販売されているのを考えると、少々割高な感じですね。

ナスの味噌炒め材料
↑ ナスを半月切りにして、味噌やコチュジャン、ニンニクなどを入れて炒めます~

けれども実際のところ、この酢が本当に韓国産の酢なのかどうかは確認できていないそうです。もしかしたら中国で商標だけを作って付けたものを流通させている可能性も高いという噂があります。けれどもオトゥギブランドの酢が最も売れている商品だというのは事実で、他には韓国ブランドのコチュジャン、食用油、小麦粉もよく売れる人気商品なのだとか…。

プル冷菜完成写真
↑ 3品目はサンチュ冷菜(부루냉채)~。夏に食べると美味しそうですねぇ~。

そして数々の商品の中でも、北韓で非公式通貨の役割まで果たしてしまう商品があるという話に驚きました。それがオリオン製菓のチョコパイです。この「チョコパイ通貨」の始まりは、元々開城公団(注1)の労働者たちに、韓国企業がおやつとして配っていたことから広まっていった…とのこと。
(注1)開城公団とは金大中大統領時代の2000年より南北経済協力の象徴として作られた工業団地です。北朝鮮が土地と労働力を、韓国が資本と技術を提供して建設されました。けれども2008年以降の李明博大統領が対北強硬姿勢に転じてからは、事実上断絶状態となっています。

プル冷菜の材料
↑ サンチュ以外にこのような材料を入れます~

北韓の労働者のなかに、その配られたチョコパイを食べずに、高い価格で売ることで収入を増やそうとする人たちが現れたのです。オリオンのチョコパイは韓国でならば1個約300ウォン程度で売られているのですが、北韓では需要が高い大人気の嗜好品としてよく知られているため、非公式通貨として他の商品と売買交換することが可能なのだとか…。

プル冷菜材料を細かく切る~
↑ 細かく刻んで酢、ニンニク、醤油、ゴマなどで味付けるだけ~

最近ではチョコパイだけを取引する臨時市場まで誕生していると伝え聞いています…。そのため韓国のチョコパイは、北韓のどの市場にでもある商品というだけでなく、公式通貨の代わりとして通貨のように利用することも可能となっているのです。ちなみに気になる北韓のチョコパイ価格なのですが、取材した韓国メディアによりますと、1個当たり北韓のお金で約5000ウォン分の通貨と同等の価値を持っているとか…。韓国ウォンに換算するとチョコパイ1個に1500ウォン相当の通貨価値が認められている計算になりますから、本当にビックリですね…。

プル汁完成
↑ 他にも同じ材料で、味噌で煮た料理もあります~。これはサンチュ汁(부루국)と呼ばれているそうです~。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/18 10:16 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(0)

北方の郷土料理⑧(その1)

北韓式おにぎり01
↑ 今回も調理実習は全部で3品。これは北韓式のおにぎりです~

恒例の北韓料理セミナーでした。毎週1回行っている勉強会ですが、毎回の研究テーマは私にとってとても興味深いものです。これまでほとんど知らなかった生まれ故郷のことを、食を通して勉強することで毎回何かしらの新しい発見があることが魅力の勉強会です。

北韓式おにぎり02
↑ 日本や韓国と違ってご飯はコチュジャンで味付けることもあるそうです~ 

今回のセミナーテーマは「北韓の在来市場」。もともと北韓は社会主義国家であるため、生産と分配の全てが、国家によって決定される計画経済体制です。しかし1990年代後半に入ると、この配給制度が徐々に崩れはじめているという報道が伝わり、ニュースでも数百万人が飢え死にしたと言われるようになりました。そしてこの時期から、一部だけだそうですが、北韓にも新しい形態の市場が登場しはじめるようになったといいます。

北韓式おにぎり03
↑ おにぎりの中身はよく似ていました。イカのキムチとか、漬物などが入っています~ 

2003年5月には常設市場の形態をもつ売買所を「総合市場」と名づけて合法化させたと言われています。そして、この合法化を受けて農民や一般住民だけでなく、企業や共同農場などでも市場で自主生産した品物を販売できるようになりました。当初は市や郡単位で、1つの農民市場だけを許可したそうなのですが、次第に農民市場以外の各種市場が誕生し、最近では各市郡単位ごとに5~7箇所の市場ができているといわれています。

北韓式おにぎり04
↑ 北韓式おにぎりは中身の具も、外側も細かく刻むのですね~ 

また北韓の市場は大きく分けて6つの形態があるそうです。1つ目は国家経営市場。別名国営商店と呼ばれます。中央配給体制の中で配給される統制品のうち、許可を受けた品物に限り一定量だけ安く売ることができる市場です。2つ目は農民市場。原則的には農民が作った農産物だけを取引できる市場なのですが、実際は幾らかの工業製品も活発に取引されているそうです。

北韓式おにぎり05
↑ 海苔も細かく切っておにぎりにまぶす形でした~

3つ目はジャンマダン(장마당)と呼ばれる売買所です。一般的に農民市場よりも規模が小さく、一定の施設がない、路上販売の形態をとる市場をこう呼ぶそうです。4つ目は総合市場。農民市場とジャンマダンを合わせたような市場といわれ、ここでは店舗を構えなければなりません。そして商取引も店舗内のみで可能です。つまり国家が管理できるような体制をもっている市場といえます。

北韓式おにぎり06
↑ 海苔のほかにはゴマやキナコもまぶすそうです~。日本にも似たようなおにぎりがあるそうですね~

5つ目はメトゥギ(매뚜기)市場です。メトゥギとは昆虫のバッタのことを意味します。この市場は基本的には無許可で、急に現れたり消えたりする形の市場です。主に職場に通勤する人たちを対象に商売がなされることが多く、売られる品物も移動が簡単な、小さな品物だけを販売するそうです。そして最後、6つ目の市場は夜市場(야시장)です。言葉どおりに夜から明け方にかけて営業するところから、こう名づけられました。基本的には臨時に現れる市場で、帰宅が遅くなる労働者や汽車で移動中の旅行者などが、商売の対象になっている市場だそうです。

北韓式おにぎり07
↑ ゴマは細かくすりつぶしてまぶします~

こうしてみると、十数年前まで似たような市場が韓国にもあったことが思い出されます。最近の韓国では、在来市場の数が大型スーパーマーケットなどに押されて、どんどんその数を減らしています。けれども、北韓ではまだまだ現役のようですね。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/17 10:21 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(0)

牡丹の花(모란꽃)

牡丹花00
↑ 牡丹の絵を描いた布で作ったチョガッポ

4~5月に咲く牡丹は、韓半島では富貴を象徴するとされ、富貴花(부귀화)などとも呼ばれます。また牡丹は古くから花の中の花と考えられ、繁栄や長寿、美と幸福の象徴として、広く愛されてきた花でした。そのため韓国では様々な逸話が残されているだけでなく、伝統工芸のモチーフとしてもよく使われています。※韓国で牡丹(모란)という時には、よく似た木芍薬(목작약)を含むことも多いです。

牡丹花01
↑ 牡丹の刺繍がされている鍵入れ(열쇄패)

有名な逸話としては、中国の代表的な美女として名高い則天武后にまつわるものがあります。彼女が全ての花が華麗に咲いている花畑を見たいと言ったため、臣下たちは、こぞって花を咲かせる神にお願いします。けれども、誇り高い牡丹の花だけはその願いを聞き入れず咲かなかったといいます。則天武后は自分のいうことを聞かない牡丹に腹を立て、牡丹の葉、茎、根を燃やしてしまうのですが、その高貴な精神は焼かれた後に薬剤に変化し、人々の役にたったという話です。現在でも牡丹皮という漢方薬には鎮痛作用があるとされ、広く使われています。

牡丹花02
↑ 牡丹の刺繍がされている眼鏡入れ

もちろん韓半島にも牡丹にまつわる逸話が伝えられています。韓国の歴史書である『三国史記』に、統一新羅時代の学者である薛聰(설총)という人物が書いた『花王戒(화왕계)』という説話譚があります。この説話は昔話を通じて王の心構えを説くという性質の物語なのですが、この話の中でも牡丹は花の国の王として登場しているのです。このように韓半島の人間にとっても牡丹はとても高貴な花として考えられていたことが伺えるのです。

牡丹花04
↑ 牡丹の刺繍がされているスジョチプ(수저집:箸スプーン入れ)

現在でも伝統婚礼式をする時、新婦の礼服となっている圓衫(원삼)や闊衣(활옷)は、必ず牡丹の刺繍が施してあります。他に民画のジャンルでも、牡丹は重要なモチーフとして繰り返し登場します。特によく描かれるのは朝鮮王朝時代のソンビ(선비:科挙の準備をする知識人)が科挙に合格することを願って描いた冊架図(책거리:文房具や書籍を書いた民画)で、その絵は贈られた人物の繁栄や幸福を願う気持ちを、牡丹の花で具現化していると言えるでしょう。

牡丹花03
↑ 牡丹の刺繍がされているトルティ(돌띠:子ども韓服の腰帯)

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/16 10:40 ] ポジャギ | TB(0) | CM(0)

天然染色の糸

自然染色001
↑ 天然染色の糸が送られてきました~

天然染色を生業としているお弟子さんのひとりから、この糸のデモンストレーションと宣伝を兼ねた作品作りを依頼されました。もともと天然染色とは、自然から採取する花・木・草・土・虫・貝殻などより抽出した天然物質を使い、布や糸を染めることです。天然物質は大きく分けて、動物性染料と植物性染料の2つがあり、昔から色々な色が作られて来ました。

自然染色005
↑ 藍を使って染めた糸~

今回依頼された糸は全て植物性染料によって染められています。青色は藍(쪽)で染めた糸だそうです。藍は昔から人類に知られていた代表的染料でした。この染料を使って染めた布で衣服を作れば、ウリ(으리)と呼ばれる薬が体に合わないことで皮膚に熱をもつ、薬では治せない皮膚病に効果があったと伝えられています。他にもアメリカの西部開拓時代の話が有名です。当時のアメリカでは蛇が多かったそうで、鉱夫たちが着ていた茶色のズボンをインディゴ藍で青色に染色し、蛇との接触を防いだそうです。現在でも「インディゴブルー」という色はよく知られていますね。

自然染色003
↑ 天然染色の糸で手まりを作ることにしました~

赤色は植物性の蘇方木以外にも、動物性染料の乾酪蟲(古くなったチーズに生まれる寄生虫)、コチニールを使うことが多かったようです。媒染として、明礬(ミョウバン)や塩を使うことでより鮮やかな赤色を手にすることができたとか。

自然染色004
↑ 黄色は梔子を使っているそうです~

黄色は黄鉛(クロム酸鉛を主成分とする染料)などの鉱物系のものもありましたが、植物性の鬱金(生姜科に属する植物から作る染料)、金錢花(トベラ)、梔子を使用することが韓半島では多かったようです。黄色には鬼神を追い出したり、病気を防いだりする力が宿ると考えられ、呪術関係には欠かせない色だったようです。

自然染色002
↑ 天然染色の手まりは化学染料よりもとても暖かな色合いですね

緑色は青色と黄色の複合色から作られました。韓半島の王室では王妃の唐衣や圓衫(女性の伝統礼服)に多く使用される色であり、王世子(皇太子)の衣服も緑色のものが多かったようです。そのため青色の材料となる藍を沢山栽培することになり、農地面積が少なくなるほどであったといいます。そして、しばしば農事に支障が出るほどの問題となり、中宗23年(1528)には濃い緑色の衣服を着用することが禁じられたという記録が残されているほどです。

自然染色006
↑ こちらが完成品の手まりですぅ~

このように人類は古くから天然物質を利用して多様な色を手にしてきたのだと考えると、普段当たり前のように身近に存在する色のひとつひとつが、とても感慨深いものに変わっていきますね。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/15 10:33 ] 手まり | TB(0) | CM(2)

珍しい依頼

クロスの規定デザイン画
↑ クロスの規定デザイン(彩色は李先生)

とても珍しい依頼を受けました。私も長い間工房の仕事をしていますが、このような依頼は初めてだったためとても驚きました。

クロス01
↑ チョガッポの雰囲気を生かしつつ~

その依頼とは今度聖公会の新米牧師様として、沖縄に派遣される方が着る聖衣の紋章を韓国伝統のチョガッポで作って欲しいというものです。聞くところによると送り手側の牧師様は、ダムル工房の前の坂道を歩いていた時、偶然工房を見つけて、新しく日本で牧師様として働く方へのプレゼントとして思いついたとのこと…。

クロス02
↑ ヤンダンで作っていきます~

聖衣はミサの時に着る聖公会の礼服です。私も今まであまり詳しく知らなかったことなのですが、聖衣の模様は統一のものなのだとか…。しかし、それをどのようなデザインで描くかは、各自の好みで決めていいもので、そこに牧師様の個性が表れるのだそうです。

クロス03
↑ ヤンダンの上品さを出せているでしょうか…

依頼を受けて、早速聖衣の紋章となる規定デザインを頂き、チョガッポらしさを失うことなく、さらに聖衣として可笑しな浮ついた色合いにならないように、色々なデザインを考えてみました。牧師様の希望はヤンダンのチョガッポであるならデザインはこちらに任せるということでしたので、ヤンダンの高貴な雰囲気を生かしたいとも考えました。

クロス04
↑ クロスのデザインとあわせつつ~

とりあえず今は幾つか試作品を作って、牧師様に見てもらい、その中から気に入ったものを選んでもらいたいと考えています。しかし長く工房をやっていると、このようなことを依頼されることもあるのだな…と、久々に驚いた出来事でした。

クロス05
↑ こういうものを幾つかつくって選択してもらおうかと思ってます~

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/14 10:01 ] ポジャギ | TB(0) | CM(2)

料理教室レポート

カルチチョリム01
↑ タチウオと野菜を入れて~
カルチチョリム02
↑ 味付けして煮るだけデス~


幽です!!昨日、埼玉県よりいらしたS氏が韓国料理教室に参加されたので報告したいと思います。今回も1人参加の料理教室で、通訳としてharu氏が入り、全部で3人というこじんまりした料理教室だったそうです。幽はお仕事のため参加できず、残念!!埼玉のS氏は韓国訪問多数の韓国通と聞いています~。また次回いらした時には是非お会いしたいデスネ!!

ケンニプキムチ01
↑ ケンニプをよく洗って~
ケンニプキムチ02
↑ ヤンニョムを作り~
ケンニプキムチ03
↑ 容器に綺麗に並べて~
ケンニプキムチ04
↑ ケンニプとヤンニョムをずっと重ねていきます~


ちなみに希望メニューは、先日ブログで紹介した北韓料理であるタラの芽炊込みご飯(두릅나물밥)、タチウオの煮付け(갈치조림)、ゴマの葉キムチ(깻임김치)の3品。どの料理も下ごしらえして鍋に入れ、煮えるのを待つ…という料理だったため、非常にノンビリとしたペースで進んだそうです。

トゥルプナムルパプ001
↑ タラの芽を綺麗に洗い~
トゥルプナムルパプ002
↑ 豚肉を炒めて~
トゥルプナムルパプ003
↑ ご飯の上に~
トゥルプナムルパプ004
↑ だし汁と一緒にご飯を炊いていきますぅ~


普通の料理教室では中々体験できない旬の山菜の扱い方や、コツを掴むまでがちょっと難しいといわれるヤンニョム簡単レシピなど、通訳のharu氏も聞くだけで色々タメになる李先生の豆知識を教えてもらえて、ラッキーだったなぁ~っと思ったくらいだったそうですよ?最近のソウルはとてもいい天気が続いていて、ソウル訪問にはとてもいい時期だと思います。残りのソウル観光も楽しんで下さいね~。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/11 10:21 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(2)

北方の郷土料理⑦(その2)

オオバコスープ完成品
↑ 3つ目はオオバコスープ(길짱구지지개)

北韓地方の食材や料理について書かれた昔の文献のうち、もうひとつ代表的なものが『屠門大爵(도문대작)』という史料です。これは許筠(허균:1569~1618)という人物が書いた随筆書なのですが、この人物はハングルで書かれた最古の小説といわれ、韓国人で知らない人はいない言われるほど有名な『洪吉童伝(홍길동전)』を書いた人物なのです。

オオバコスープ材料
↑ オオバコを北韓ではキルチャング(길짱구)、韓国ではチルギョンイ(질경이)というそうです~

この人はもともと現在でいう大臣クラスの官僚だったのですが、派閥闘争に巻き込まれ謀反の首謀者として1618年に処刑されてしまいます。その彼が1611年にこれまでの人生で味わってきたものとして、全国8道の食品と特産物などについて語っているのです。

きびご飯完成品
↑ 4つ目はキビご飯(수수밥)

『屠門大爵(도문대작)』の意味は、中国の故事に由来し、肉が食べたいけれど食べられないため屠殺場の門を眺めながら食べた気になって自らを慰めるという意味なのだそうです。つまり許筠は昔自分が食べた全国各地の珍味を懐かしく思い出しながら、自らの人生を回顧しているエッセイを書いた…と考えてくれればいいでしょう。

きびご飯材料
↑ キビご飯の材料~

けれどもこの史料は朝鮮王朝時代中期当時の食材や調理法、加工品などが詳細に記されている非常に貴重な史料となっています。もちろん北韓地方だけについて書かれているわけではありません。北韓地方だけでなく韓国全土の多様な特産品についての話が書かれているため、非常に興味深い書籍になっています。是非機会があったらご覧になってみて下さい。
※そうそう、彼の同時代に生きた親戚には、ドラマにもなった医学者・薬学者として有名な『許峻(ホジュン:허준)』がいるのですよ~。

茄子の蒸し物盛り付け
↑ 昨日の茄子の蒸し物(가지찜)は切って盛り付け~

(幽のつぶやき)
ダムル工房の日本人弟子のひとりであるIma氏が主催者のひとりとなり、新潟で展示会を行うという連絡があったため、ご紹介したいと思います。


ima氏展示会ポスター
展示会名;『韓国伝統工芸ポジャギと日韓作品展』
期間;2012年6月21日(木)~6月27日(水)
時間:午前9時~午後5時(最終日は午後3時まで)
会場;北方文化博物館 屋根裏ギャラリー
住所;新潟市江南区沢海2-15-25
電話;025-385-2001
入場料;無料(但し博物館には入れません)


この展示会は韓国にある円光デジタル大学イウムの会と、新潟県にあるハンマウムの会が協力して行う国際交流事業のひとつだそうです。もともとは円光デジタル大学の韓国服飾科学学科の作品展として、忠清南道温陽市で展示会をした時、日本の手仕事紹介としてアイヌ刺繍、裂織、チクチク針仕事、ポジャギ等を紹介したことから交流が始まりました。今後は1年ごとに温陽と新潟市で交互に展示会を行っていく計画もあるそうです。

展示作品数もかなりの数にのぼり、見ごたえがありそうですね!!円光デジタル大学の作品が67点、日本のポジャギ教室の作品が10点、日本の手仕事作品(アイヌ刺繍、裂織等)5点、新潟市側の代表者の作品が10点程度…と沢山の作品が並ぶ予定です。

またポジャギ体験教室も行います。6月21日(木)、22日(金)は午前・午後、23日(土)は午前中に「携帯ストラップ」を作るとのこと。講習費は無料ですが、材料費としてだけ1500円が必要となります。関心がある方は6月5日(火) までに事前予約をお願いします。事前予約の連絡先;090-6458-6822(今泉)

詳しくはチラシに書いてあるのでご覧ください。可能なようなら、お誘いあわせの上、是非観に行って下さいねぇ~。


↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/10 10:15 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(2)

北方の郷土料理⑦(その1)

本日の北韓料理のメニューです~
↑ 今回の調理実習も全部で4品ですぅ~

毎週行われている北韓料理セミナーでした。もう7回目になるのですね。月日が経つのは早いものです。本日の研究テーマ発表は「昔の文献に記されている北韓料理」でした。現存する史料のうち現在の北韓地域の食材や料理について記されているものはそう多くありません。

カジチム完成品
↑ ナスの蒸し物(가지찜)~。幽が思うに北韓料理ってすごく素朴な感じがするなぁ~。ひき肉が中に挟まれているみたい…。これは美味しそう~。

その少ない記録の代表的なものの1つが『貢膳定例(공선정례)』です。この史料は朝鮮王朝の王のうち最も長い在位期間を誇った英祖が崩御した1776年に、次の王となった正祖が編纂させた史料として有名です。正祖とは日本でも放映されたというドラマ『イサン』の主人公になった王様なんですよ。

カジチムの材料
↑ カジチムの材料ですぅ~。

『貢膳定例(공선정례)』の内容は、王家に献上された各種の物品名や数量、献上方法を簡略化したり改正したりして、関係機関や全国8道に配布したものです。その中に現在の北韓地方から献上された食材が記録されているのです。

オイポックム完成品
↑ こちらはキュウリの炒め物(오이볶음)~。キュウリを炒めるって何となく日本人はしませんよねぇ~。

有名なものとして、開城地方では松茸や白魚が特産品だと記載されています。記録には8月に松茸を3回に分けて30個ずつ、11月に白魚を3回に分けて40個ずつ献上しています。当時の王も松茸に舌鼓を打ったのかと思うと楽しくなりますね。

オイポックムの材料
↑ オイポックムの材料~

また黄海地方では海老や鯖などの魚貝類や、麦や黍などの雑穀などが色々記されており、多様な特産物が当時からあったことが分かります。咸鏡地方ではチョッカル(젓갈:塩辛)や海草類が豊富で保存方法も発達していたことが伺えるのです。

(幽のつぶやき)
昨日5月8日(火)は「両親の日(어버이날)」でした。韓国では父の日と母の日を一緒にして祝うのです。けれども両親にカーネーションを贈るのは日本と同じです。今日は何処のコンビニ前でもカーネーションが売っていましたよ~。

コンビニ前のカーネーション
↑ 何処のコンビニ前でも売ってマス!!

あ、でも日本と違って色は何色でもOKだそうです。現在の民主党政権ではこの両親の日を公休日にしよう…という計画が進められているそうです。韓国でも年々両親と離れて暮らす人々が増えているのに、平日だと夕食を一緒にすることも難しいから…なのだそうです。

何処へ行っても見かけます~
↑ あちこちにカーネーション~。紫のカーネーションって珍しくないかなぁ~???

ま、日本に両親が健在の幽にとってはあまり関係がない話ですが、やっぱり日本の3分の1くらいしか公休日がない韓国なので、休日が増えるのは大歓迎ですけどねぇ~。どうなることやら…。


↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/09 10:21 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(0)

モザイク配列技法(쪽매맞춤)

チュクメマッチュムのてまりとチョガッポ
↑ チョクメマッチュム技法の手まりとチョガッポ

チョクメマッチュム(モザイク配列技法:쪽매맞춤)とは、英語で「tessellation」などと翻訳されることもありますが、チョガッポや手まり製作に欠かすことができない技法です。

チュクメマッチュム02
↑ 隙間なく図形で埋め尽くすものをチョクメマッチュムといいます~

具体的には、ある平面・立体を問わず空間を図形で埋める時、模様間の隙間や重なりが全くないように埋める方法を言います。もとは建築学などで、壁面をタイルやモザイク模様などで装飾する時などに使われた技法です。

チュクメマッチュム01
↑ 隣あう図形の合計が360度になるように~

理論的にはどのような図形でも、隣り合う図形どうしその各角度の合計が360度になれば、平面・立体空間を隙間なく美しく埋め尽くすことができます。一番単純でよく見られる図形は、正四角形で埋め尽くすことですね。正四角形は1つの角が90度のものが4つ集まり、360度になるために整然と隙間なく空間を埋め尽くすことができます。

チュクメマッチュムのてまり作品
↑ 平面でも立体でもOK~

しかしどのような形の模様であっても、埋める側のピースが合わさる角度の合計が360度になるように計算し、配列すれば必ず美しいチョクメマッチュムの作品を作りだすことができるのです。チョガッポも手まりもこの技法を念頭においてデザインをすれば、より多様な作品を作り出すことができるでしょう。

チュクメマッチュムのてまりたち
↑ これもチョクメマッチュムの応用~

(幽のつぶやき)
韓国で毎年5月15日は「先生の日(스승의날)」です。毎日学校で顔を合わせる先生や、かつての恩師を敬い、感謝の気持ちを伝える日とされています。もともとは1964年5月24日、「恩師の日」として始まりましたが、翌1965年に世宗大王の生まれた5月15日に日付を変更、名称も現在の「先生の日」に改称されました。※ちなみに韓国では5月に「子どもの日」「両親の日」「先生の日」と贈り物を沢山買わなければならない日が集中することから、5月は懐事情が非常に厳しくなる月とも言われているんですよ。

李先生とプレゼント!!
↑「ありがとう~。有難く使わせてもらいますね~」

けれども最初は先生に感謝の気持ちを伝える日として始まったのですが、いつの間にか先生にゴマをするためのプレゼントを贈る日と変わっていってしまったといいます。さすが儒教の国といいますか…(苦笑)。ご存知のとおり韓国の教育熱は大変なもので、その分教師に対する期待も相当に大きいものになるという背景から出てきたのでしょうね…。そしていつの間にか感謝の気持ちは教師に対する賄賂に変化し、半強制的なプレゼント合戦となることで深刻な社会問題になっていったそうです。

刺繍のメッセージ
↑ このメッセージカードは手描きでなく、刺繍なんですよ!!スゴイ!!

数年前には保護者が学校を訪れることができないように、学期が終了する2月に「先生の日」を移そうという意見や、この日は休校にしてしまおうという意見なども提案されたそうです。ここ数年は教師の賄賂に対して厳しい目が向けられるようになり、禁止措置が奨励されるようになったことから沈静化に向かっていますが、それでも多くの人が教師たちに高価な贈り物をしています(←幽の通う大学院の研究室でも健在です…苦笑)。

シリコンスチームバック
↑ ルクエも色々なものがあるんだね~!!

もちろんそんな韓国の現象とは違いますが、昨日神戸のS氏から李先生にプレゼントが贈られてきましたぁ~。ルクエの新製品、スチームバックです!!S氏~、李先生がどうも有難うですって…。そして便利そうな製品なので是非使わせてもらいます、けれどもどうか気を使わないで…と伝えて下さいとのことです。


↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/08 10:15 ] ポジャギ | TB(0) | CM(1)

ダムル工房ツアー

宿泊予定のペンション01
↑ 宿泊予定のペンション

毎年恒例のダムル工房韓国文化体験ツアーについて、概略が決まりましたのでお知らせします。どなたでも参加可能ですのでふるってお申し込み下さい。もし参加希望の方がいらっしゃいましたら、ここのコメント欄にて、管理人のみの閲覧にチェックを付け、メールアドレスとともにお知らせ下されば、こちらからおって連絡します。

宿泊予定のペンション02
↑ ペンション周辺風景

この韓国文化体験ツアーでは、李先生とともに毎回地方各地へ行っています。自然が豊かな地方都市でポジャギや手まりを習うだけでなく、陶芸、染色、料理、韓紙工芸などなど、毎年何か1つを選択体験しています。

体験教室01
↑ 金海粉青陶磁館パンフレット(金海市は利川に負けないほどの陶磁器の街だそうです~)

↓  ↓  ↓ ここをクリック!!
金海粉青陶磁館HP(韓国語)

今年は慶尚南道・金海に、李先生のご主人の友人が経営するペンションに宿泊予定です。日程は6月21日(木)~6月23日(土)の2泊3日となっています。

体験教室03
↑ 窯はこんな感じ~

おおよそのスケジュールは以下の通りです。

6月21日(木)
→ 午前7時 鐘路4街のジュエリーシティー1階スターバックス前に集合
→ 午後13時ごろ 全羅南道麗水で開催中の麗水EXPO見学
→ 午後18時ごろ 麗水出発
→ 午後22時ごろ 慶尚南道・金海市にあるペンション到着

6月22日(金)
→ 午前10時~ 金海陶芸村にて陶磁器体験教室
→ 午後~  金海市一帯の観光(伽倻文化探訪)
→ 夕食 ペンションにてバーベキュー

6月23日(土)
→ 朝食後 ペンション出発
→ 釜山の海辺に到着、釜山市観光など
→ 昼食後 ソウルへ向かって出発
→ 夕食 途中の地方都市
→ 午後20時にソウル市に到着


体験教室02
↑ ここ以外にも100近い窯があるそうです~

参加人数に制限はありません。家族連れでも参加OKとなっています。このスケジュールは参加者の希望によって変えることも可能です。参加費用は交通費、バスレンタル費、食費、体験費など全て含んで、約45万ウォンとなります。但し麗水EXPOへ行かなかった場合は約40万ウォンです。EXPOへ行くかどうかは参加者の意見を聞きたいとのこと。

体験教室04
↑ アクセス方法

この時期に韓国訪問を考えている方がいらっしゃいましたら、是非お誘いあわせのうえご参加下さい。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/07 10:30 ] 雑談(その他) | TB(0) | CM(0)

北方の郷土料理⑥(その2)

トゥルプナムルパプ01
↑ 今回の実習料理のメニューは全部で3品。先ずはトゥルプナムルパプ(두릅나물밥:たらの芽炊き込みご飯)~。タラの芽…、幽も大好きだぁ~。

今日は南北間を問わず、2大民俗名節に数えられるソルナル(설날:節日[陰暦1月1日])とチュソク(추석:秋夕[陰暦8月15日])を、北韓ではどのように過ごすかについて話したいと思います。

昨日も書きましたが、北韓では分断後、民俗名節を祝うことは封建時代の残滓として、または地方主義や復古主義をなくそうとの目的から、ずっと祝うことが禁止されてきました。けれども南北間の交流協力が徐々に増えるにつれ、1989年頃からお祝いの食事(=설식:節食)を食べることが許されるようになったそうです。

それでも、特にソルナルの方はしばらくの間、歓迎されることがなかったとのこと。理由はちょうどソルナルの時期が、金正日の誕生日である2月16日とかなりの確率で重なりあうことが多く、生誕祭の邪魔になる…と考えられていたからだそうです。

トゥルプナムルパプ02
↑ 豚肉とかネギ、ニンニクなども入ってるんですって…。ヤンニョムカンジャンをかけて食べるそうですぅ~。

それでも、徐々に民俗名節を祝う風習は浸透していったとのこと。北韓には「ソルナル(설날)はスルナル(술날:酒日)だ」という冗談があるそうですが、ソルナルの日は朝から晩まで酒に酔った男たちが溢れるところから出てきた言葉だといいます。もちろん酒だけではなく、平壌では雉肉のマンドゥクッ、地方では様々なトックッ(떡국:雑煮)が食べられていると伝えられています。

カナリジャパン01
↑ 次はカナリジャパン(까나리자반:いかなごの炒め煮)。こちらはその材料~

また韓国では民族大移動と揶揄されるほどの帰省ラッシュが有名ですが、北韓ではそういう現象はないらしいです。親戚同士行ったり来たりすることもあるようですが、ほとんどは自宅でノンビリ休み、故郷の人々に手紙を出す程度だといいます。そして、この日は電気が特別供給されることから、1つしかないTV局の番組を見ることができると聞いています。

カナリジャパン02
↑ いかなごを油で炒めた後、甘辛く味付けするそうです。ビールのおつまみに最適だそうです~。 

チュソクについても同様です。韓国ではチュソクが民俗最大の名節と言われるほど重要な名節ですが、北韓では他の公休日の1日とあまり変わりはないようです。

ただ違いがあるとすれば、1988年以降、チュソクの日は先祖の墓参りをする日となったことだけだそうです。しかしその墓参りも、韓国のように茶礼(=名節の儀式)などをすることなく、そのまま直接墓地に向かうとのこと。墓参りのための大衆交通が増便されたりもすると伝え聞きます。

ヨンアンシッケ01
↑ 最後はヨンアンシッケ(연안식해:沿岸食醯)。魚貝類を入れた発酵食品なんだとか…。

しかし2008年5月に韓国に入国した脱北女性のインタビューによると、チュソクの過ごし方は貧富の差によってかなり大きな違いがあるそうです。

富裕層のチュソクは餅やジョンをはじめとした豪華な名節料理を準備するため、女性たちは前日から大忙しなのだとか。幹部級の家になると近所の貧しい家や親戚の女性たちを呼んで作らせ、賃金を支払ったりすることもあると答えています。

ヨンアンシッケ02
↑ 発酵後は写真のようになります。これが日本に伝えられて鮒寿司に代表される寿司の原型になったんだそうです~。

それに対して貧しい家の人々は、チュソクの朝、酒1瓶とおつまみ1皿を持って墓参りに行く程度だそうです。その墓参りも最近は経済的に困難だとの理由からほとんど行かなくなってしまったとのこと。そのためチュソクは休日という以外、別段とりたてて違いはなく、ご飯、豆腐、わかめスープに、肉が1~2切れ配給されれば大喜びする…というのが、北韓の一般的なチュソク風景なのだそうです。

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/04 10:14 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(0)

北方の郷土料理⑥(その1)

岩の隙間に咲くスミレ
↑ 急に夏日になりました。その暑い中、宮中料理研究院の入口にあるレンガの隙間にたくましくはえているスミレを見つけました。

恒例の北韓料理セミナーの日でした。今回のセミナーテーマは「北韓の名節(명절)」。北韓では韓半島の分断後、民俗名節は社会主義的な生活様式に合わないという理由から排撃されてきました。しかし1972年から南北対話が始まったこともあり、チュソク(추석:秋夕)に限り近郊にある祖先の墓にお参りすることが許可されたとのこと。そして1988年になると、正式に公休日として指定され、1989年には陰暦節(旧暦の1月1日)と端午の日も公休日と決められたそうです。

我が家の北韓料理本
↑ 我が家にある北韓料理の本です。左は中国で購入したものなので韓国では手に入りませんが、右側2冊は韓国で購入可能です。

そのため北韓の名節は法定公休日の9日間と、民俗名節としては陰暦節(음력설)、端午(단오))、寒食(한식)、秋夕(추석)の4日間を節食(特別なお祝い料理)を食べる日としているそうです。2009年の北韓調査報告によると11日間の国家名節と4大名節として陽暦1月1日、陰暦1月1日、正月テボルム(陰暦1月15日)、秋夕(陰暦8月15)を考えていると言われています。

今回の調理実習メニュー
↑ 今回の調理実習のメニューです。

1994年に北韓で発刊された『朝鮮の民俗伝統(조선의 민속전통)』という百科事典に収録されている食生活風習編を調べると、民俗名節に食べられる料理が記載されています。ソルナル(설날:節日[陰暦1月1日])は、平壌では 雉肉(꿩고기)を使ったマンドゥクッ(만두국:餃子スープ)を食べるそうです。韓国ではトック(餅入りの雑煮)ですね。

今回の使用調味料
↑ こちらは今回使用の調味料

2月には奴婢日(노비날)と言って、名節のように休む日があるそうです。この日はソンピョン(송편:松餅[餡子餅])を作って農民たちを労うそうです。6月の流頭日(유도일)は、満月の日に入浴をする儀式の日ですが、魚粥(어죽)を食べるとあります。

平壌魚粥02
↑ 平壌魚粥~。セミナー2回目の調理実習で作っています。魚粥と言っても魚がメインではなく鶏肉です~。

陰暦8月15日の秋夕は、平壌では特別な秋夕料理として、ノチトッ(노치떡:魚料理?)が有名で、開城地方ではトランクッ(토란국;里芋のスープ料理)やトランタンジャ(토란단자:里芋の団子料理or団子菓子?)を食べます。11月の冬至日は、韓国同様、パッチュッ(팥죽:あずき粥)を作ります。ただ北韓では隣人間で分け合って食べたり、平壌では太陽が昇る前に作って食べるという風習もあるようです。

宮中料理研究院の一角
↑ 実習料理については明日書きます~。宮中料理研究院の一角にて。冒頭のスミレを見つけた場所。

12月の臘日(납일:冬至後の3週目の末日)には、名節として休むことはないようですが、雀(참새)を捕まえて焼鳥にしたり、飴を作って食べる風習が残っているそうです。平壌ではククス(국수:冷麺)を食べることもあるようです。

(幽の補足説明)
名節とは翻訳が難しい言葉のひとつですが、伝統的な風習に従った祝日と解釈して頂ければ分かりやすいのではないのか…と思います。日本の祝日はその殆どが天皇家の宮中行事をその由来として決められているので、分かりにくいかもしれません。けれども元旦や端午の節句、お盆など節目に当たる時期に休むこともありますよね??イメージ的にはそういう公休日と考えて下さればOKです。


↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/03 10:13 ] 韓国料理 | TB(0) | CM(0)

家族の食事会

家族の食事会01
↑ ミアリサムコリにあるイェンナレノンジャン

母がしばしの間、大田の方へ帰郷しているため、久しぶりに家族みずいらずで食事会です。しかし次男は食品添加物アレルギーを持っているため、我が家の外食は何処でもいいという訳にはいきません。

家族の食事会02
↑ ご存知、ワインサムギョプサル~!!これ、柔らかくって本当に美味しいですよぉ~。

そのため肉が食べたい…という時は、大抵このイェンナルノンジャン(옛날농장:昔の農場)へ行っています。我が家では大学路を少し北上したミアサンコリ(미아삼거리)支店へ行くのですが、長男の話しによると、チュンムロ(충무로)やカンナム(강남)にも支店があるそうです。

家族の食事会03
↑ この薄切り肉も人気で、皆注文していました~。

この店は肉が美味しいだけでなく、パンチャン(반찬:付け合せのおかず)の種類が豊富で食べ応えがあるのにもかかわらず、良心的な価格設定のため気に入っています。もし機会があったら是非行ってみて下さい。

家族の食事会04
↑ ヤンニョムテジコギ~

さて少々話しは変わりますが、大学路からこの店舗へ行く時にミアリコゲ(미아리고개:彌阿里峠)という数キロに渡るなだらかな坂を上って行きます。この坂道は韓国にとって様々な逸話が伝えられている有名な坂道なのです。

家族の食事会05
↑ ここのパンチャンは品数が多いだけでなく、美味しいのデス!!

この峠道は朝鮮王朝時代から北へ通じる唯一の外郭道路でした。そのため沢山の罪人や都落ちした者たちがここを後悔や悲しみとともに振り返りながらソウルを追放されたそうです。そのためかは分かりませんが、このミアリコゲには哲学院と書かれている看板があちこちに出されているのが分かります。哲学院とは、韓国土俗のシャーマニズム信仰施設、別名ムーダン(巫堂)たちがいる場所のことで、占い施設に近いものです。私自身は行ったことがないのですが、ここまで沢山の哲学院があるということは、今でも多くの人が占いを信じているということでしょう。

また朝鮮王朝時代にまで遡らなくても、悲しい逸話が残されています。ここは1950年6月25日の朝鮮戦争において、北朝鮮軍の戦車が攻めてきた場所であり、ソウル入城のための大攻防戦が行われた場所なのです。

家族の食事会07
↑ 美味しそうに焼けています~

多くの血が流れただけでなく、ここから韓国軍の人たちが捕虜となり、この道を通って北韓へ連れて行かれたといいます。そのため1956年には『断腸のミアリコゲ(단장의 미아리고개)』というトロット(演歌に似た歌)などにも歌われ、韓国人にとってこの場所は悲しさを感じさせる場所になっています。

家族の食事会08
↑ 韓国人定番の食べ方…。サムチュに巻き巻き…。

けれども、もちろん現在はそのような影は全く感じません。また最近ではなくなりつつある昔ながらのスユ在来市場(수유재래시장)という大市場があり、観光地化していない昔ながらの市場を見学できて楽しい場所になっています。もし機会があれば、是非覗いてみてください。

↓  ↓  ↓ (ここをクリック!)
1、ミアリコゲの現在の写真
2、スユ在来市場NAVER地図(韓国語)

↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/02 10:00 ] 雑談(その他) | TB(0) | CM(3)

韓国文化体験教室

皆で一緒にポジャギ部屋01
↑ 建国大学言語教育院の留学生さん

4月28日(土)、建国大学言語教育院の外国人留学生たちが、語学プログラム研修の一貫としてダムル工房へやって来ました。建国大学は留学生たちに語学だけでなく、韓国文化も学んでもらいたいと様々な文化プログラムを準備しているとのこと。ダムル工房のチョガッポ・手まり教室だけでなく、チャング(韓国の太鼓)、タンソ(韓国縦笛)、キムチ作り、韓紙工芸、韓国舞踊などなど、様々な文化教室があるそうです。

てまり部屋留学生02
↑ 工房では珍しい男子学生~、彼も中国人だそうです~

そのなかで、今回ダムル工房を選択してくれた留学生は中国人学生7名と東ティモールの学生1名の合計8名で、てまり教室の希望でした。事前に彼らが韓国語を学び始めて約1年の学生だと、言語教育院の助教から説明を受けていましたが、果たしてどの程度言葉が通じるかと思っていました。

てまり部屋留学生01
↑ こちらは中国人女子学生~

しかし、最初こそ少々緊張していたからなのか、言葉少なに黙々と作業をしていましたが、韓国文化や、てまり・チョガッポの歴史、作り方のコツなど色々説明しているうちに慣れて来たのか、それからは積極的に韓国語で色々話してくれ、その韓国語の上手さに驚きました。

ポジャギ部屋留学生02
↑ 奥にいるのが東ティモールの留学生、手前は中国人留学生

その後は韓国語での意思疎通が全く問題ないほどの実力があることが分かり、色々なことを話しました。それぞれの国で針仕事はよくしているのか、何故ダムル工房を選択したのかなども質問してみました。すると各自の両親も含めて全員ほとんど針と糸など持ったこともなかったこと、それでも手まりやチョガッポがとても可愛いので自分で作ることができるなら作ってみたい…との思いから選んでみたと話してくれました。

ポジャギ部屋留学生01
↑ 全員、20代前半だそうですぅ~

私が若い頃は針仕事が当然のように日常生活の一部だったことを考えると、20代前半の若者たちとの世代間の違いを感じるとともに、それが韓国だけの現象ではなく世界的な現象なのだな…と実感しました。

皆で一緒にポジャギ部屋02
↑ 真ん中は引率役の韓国人助教さん

けれども最初はこわごわと針と糸に慣れない様子でしたが、若いだけあってすぐに慣れ、2時間程で皆作品を完成させることができました。特に東ティモールの学生は始めは難しそうに説明を聞いていたのですが、いざ作業を始めるととても器用な学生で、他の誰よりも早く完成させてしまいました。このクラスの班長だという中国人男性も細かい作業を上手くこなしていて感心しました。

皆で一緒にポジャギ部屋03
↑ 初めてなのにとても上手にできました~

留学生皆の完成品
↑ 皆の初めての手まり、完成デス!とても上手ですよね??韓国で楽しい思い出を沢山作って帰国して下さいねぇ~。

帰り際、学生たちは他の針仕事にも関心を持ったと言い、来月はチュモニを作りにやって来ると約束しました。折角の機会ですから、次回の体験講座の時は工房ではなく、自宅に招いて韓国料理を振舞おうかと思っています。留学生たちにどんな料理を振舞おうか…、楽しい思い出になるような料理にしようかな…と今から色々考えて、来月皆に再会できるのが楽しみです
※幽も3ヶ月ほど語学堂通学経験者なので、この留学生文化体験プログラムについては知らないわけでもありませんが、先生の自宅に訪問&会食なんて話、聞いたことないよ??李先生の講座を選んだ留学生って、ちょっとラッキーなんじゃない??って思っちゃったヨ…。


李先生と留学生の記念写真
↑ 最後は李先生を囲んで記念撮影~

(幽のつぶやき)
お待たせしました!!ようやく翻訳の仕事が終わり、ブログ再開です!!腰が痛いぃぃぃ~、肩が痛いぃぃぃ~!!やはり普段から慣れている韓国語→日本語より、日本語→韓国語の方が予定より1.5倍の時間がかかるようで、思ったより時間がかかってしまいました。これから昼夜逆転してしまった生活を元に戻すのが大変デス…(苦笑) 。

ところで日本は現在、絶賛GW休暇中だとか…。例年は、そんなもの全くない韓国にいるので、意識的に日本のカレンダーを見ないようにするくらいです(苦笑)。しかし今回ばかりは〆切までの期間が短かったため、気が散らないようにとわざと外界の情報全てをシャットダウンしていたので全く気がつきませんでした…(爆)!!

それでも日本にいたら、嫌でも連休気分に感化されて不貞腐れていたでしょうから、今年はソウルにいられて良かったなぁ~ってところですかね…。それでは、またどうぞ宜しくお願いします~。(李先生は休筆の間もずっと記事を書き溜めており、しばらくネタは尽きそうにもないみたいですしね…苦笑)


↓ ブログ村のポジャギカテゴリーに参加しました。クリックして頂けると李先生のモチベーションが上がるようです(笑)!!
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ポジャギへ
にほんブログ村
[ 2012/05/01 10:15 ] 手まり | TB(0) | CM(2)

お知らせ

突然ですが、お知らせです!!李先生は記事をしっかり準備しているのですが(えぇ~、それはもう…ヴッ…とタメイキがでるほど…苦笑)、幽の方に急な翻訳の仕事が入って来てしまいました(爆)!!!!

そのため2日ほど記事のアップができないと思われます…。

李先生の記事を楽しみにしていられる方々、本当に申し訳ありません~(泣)!!!できるだけ早く仕事を片付けて戻ってまいります…。どうもすみません~m(_ _)m
[ 2012/04/27 14:00 ] 雑談(その他) | TB(0) | CM(4)
プロフィール

ダムル工房

Author:ダムル工房
日本人ゴーストライターが書く李賢淑先生のひとりごと。

ブログ訪問者さま